役員報酬をいくらに設定するか|税理士とシミュレーションした結果と30万円にした理由

独立・法人化

法人を設立した時、最初に悩むのが役員報酬の金額設定です。

いくらに設定するかで、手取り・社会保険料・法人税の全てが変わります。しかも一度決めると原則として期中に変更できません。慎重に決める必要があります。

この記事では、税理士と一緒にシミュレーションした結果と、私が月30万円に設定した理由を書きます。


役員報酬とは何か

役員報酬とは、法人が役員(代表社員・取締役など)に支払う給与のことです。

会社員の給与と同じく「給与所得」として個人に課税されます。所得税・住民税・社会保険料の対象になります。

最も重要な点は、原則として期中に変更できないことです。毎期の期首から3ヶ月以内に設定し、その金額を1年間維持する必要があります。変更すると税務上の経費として認められなくなるリスクがあります。

だからこそ設定前に税理士としっかりシミュレーションしておくことが重要です。

なお法人設立の手順については以下の記事で詳しく書いています。マネーフォワードを使えば設立費用6万円・法務局5分で完了します。
合同会社をマネーフォワードで作った話|設立費用6万円・法務局5分


役員報酬を決める4つの視点

役員報酬の金額を決める時に考えるべき視点は4つあります。

①個人の手取りをカバーできるか

毎月の生活費・家賃・積立投資などをカバーできる金額かどうかです。役員報酬から社会保険料と所得税が引かれた手取りで、個人の支出を賄える必要があります。

②社会保険料の負担

役員報酬を上げると社会保険料が増えます。注意が必要なのは、社会保険料は個人負担だけでなく法人負担も同額発生することです。収入の総額にもよりますが、私の場合は役員報酬を月10万円上げると、個人の社保だけでなく法人の社保コストも年間約15万円増える計算になりました。

③法人税とのバランス

役員報酬は法人の経費として計上できます。役員報酬を増やすと法人の利益が減り、法人税(約30%)が下がります。一方で個人の所得税・住民税が上がります。どちらで課税される方が有利かを考える必要があります。

④副業収入や不動産所得がある場合は個人の課税所得全体で考える

副業収入や不動産所得がある場合、役員報酬だけでなく個人の所得全体を合算して課税所得が決まります。不動産所得に赤字がある場合は損益通算で課税所得を圧縮できるため、役員報酬をどの水準に設定するかの判断が変わってきます。


低く設定しすぎるリスク・高く設定しすぎるリスク

低く設定しすぎるリスク

月10万円以下にすると、私の場合は生活費・家賃・積立投資をカバーできなくなります。法人の経費で生活コストの多くを賄えるとはいえ、スーパーの買い物など個人で支払う必要があるものは役員報酬の手取りから出すしかありません。

高く設定しすぎるリスク

月40万円以上にすると、社会保険料の法人負担が大きくなります。また個人の課税所得が上がるため、せっかく法人を作った節税効果が薄れます。副業収入や不動産所得がある場合はさらに注意が必要です。


税理士とシミュレーションした結果

実際に税理士に依頼して、月20万・30万・40万円のシミュレーションを行いました。

私の場合は副業収入と不動産所得の赤字があるため、役員報酬単体ではなく個人の所得全体を合算した上でシミュレーションしています。個人の状況によって最適な金額は変わるため、必ず税理士と一緒に計算することをおすすめします。

シミュレーションの結果はこうなりました。

月20万円の場合
所得税:約10万円/年
社保・個人負担:約28万円/年
社保・会社負担:約28万円/年

月30万円の場合(採用)
所得税:約19万円/年
社保・個人負担:約42万円/年
社保・会社負担:約42万円/年

月40万円の場合
所得税:約28万円/年
社保・個人負担:約57万円/年
社保・会社負担:約57万円/年

独立後の収入設計・節税の全体像についてはまずこちらのブログ記事をご覧ください。
独立して手取り+820万円|外資系コンサルが法人化で変えた税の構造

さらに詳細な数字・設計をすべて知りたい方は有料noteで全公開しています。
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なぜ30万円にしたか

シミュレーションの結果、私が30万円を選んだ理由は2つです。

社宅にできなかったため家賃の個人負担が発生しているから

法人設立1年未満では社宅契約ができないケースがあります。現状は自宅を法人に転貸する形で家賃の約半分を法人経費にしていますが、残りの約12.5万円は個人で負担しています。月30万円の手取りで約25万円が手元に残り、この家賃と新NISAなどの積立をカバーしています。

②40万円にすると法人の社保負担が増えすぎるか

月10万円の差で法人の社保負担が年間約15万円増えます。個人の手取りが増える一方で法人のコストも増えるため、コストパフォーマンスが悪いと判断しました。

20万円にしなかった理由は、家賃の個人負担と積立を賄うには手取りが不足するためです。


来年は20万円に下げる予定

法人設立から1年が経過したタイミングで社宅制度に切り替える予定です。社宅にすれば家賃の約9割を法人負担にできるため、個人の手取りから家賃を払う必要がなくなります。

そうなれば月20万円の役員報酬でも十分になります。役員報酬を下げることで個人の課税所得をさらに圧縮できます。

役員報酬は毎年の状況に合わせて見直すものです。毎期の期首に税理士と相談しながら最適な金額を設定することをおすすめします。

また法人設立後2年間は消費税の納税義務が免除される制度があります。役員報酬の設計と合わせて理解しておくと、法人化の節税効果を最大化できます。
法人設立後2年間は消費税を払わなくていい|独立したら600万円得した話

独立後の収入設計・節税の全体像については以下の記事で詳しく書いています。
独立して手取り+820万円|外資系コンサルが法人化で変えた税の構造


まとめ

役員報酬の設定をまとめます。

  • 役員報酬は原則として期中変更不可。期首に税理士と相談して決める
  • 決める視点は「個人の手取り」「社保の負担」「法人税とのバランス」「副業・不動産所得との兼ね合い」の4つ
  • 社保は個人負担だけでなく法人負担も同額発生することを忘れずに
  • 副業収入や不動産所得がある場合は個人の課税所得全体で考える
  • 私は月30万円に設定。来年は社宅切り替えを機に20万円に下げる予定

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※本記事の数字・設計はすべて税理士と相談しながら決めたものです。最適解は個人の状況によって異なります。独立・法人化を検討している方は、必ず税理士にご相談ください。

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