この記事でわかること
- 更新時の家賃改定通知の出し方と、成約実績を使った根拠の作り方
- 一度合意した金額から、まさかの退去に至った経緯
- 空室を逆にチャンスに変えた再募集の価格設定の考え方
- 結果として物件価値がどれだけ上がったか
はじめに
以前、こちらの記事で紹介した大阪①(大阪市・築約10年1K)は、購入からわずか3ヶ月で入居者が退去し、家賃を16,500円引き上げることができた物件です。
👉 家賃16,500円上げて、535万円の物件価格上昇|大阪市・築浅1Kを80万円値引きで買った話【体験談】
今回は、この値上げがどういう経緯で実現したのか、更新時の交渉から再募集までのプロセスを詳しくお伝えします。
最初の通知:73,500円→86,000円への改定
更新のタイミングで、管理会社経由で家賃改定の通知を出しました。
根拠にしたのは、周辺の地価・物件相場の上昇と、当物件の管理・維持コストの増額です。加えて、同じマンション内の低層階かつ小さい部屋の部屋において、8万円前後での成約事例が複数あるという直近の実績も併せて伝えています。
現行家賃は73,500円(管理費・共益費込み)でした。これを86,000円に改定したいという通知を出しています。
一般的な家賃の上げ方・交渉の考え方についてはこちらで詳しく解説しています。
👉 投資用マンションの家賃を上げる方法|交渉テクニックと進め方を解説
東京の物件で同様の交渉を行った際の詳しい経緯はこちらです。
👉 家賃11,000円アップで物件価値330万円アップ|入居者との賃料改定交渉を公開
入居者からの逆提案:80,000円で一旦合意
この物件は自動更新契約で、もともと更新料が発生しない契約でした。特別なサービス(更新料免除等)を追加で提示したわけではありません。
通知に対して、入居者さんからは「80,000円でお願いできないか」という逆提案が来ました。73,500円から80,000円でも6,500円の増額になりますし、悪くない数字だと考え、この金額で合意しています。
年換算すると78,000円の増収、収益還元法(実質利回り3.7%で計算)に当てはめると、物件価値は約211万円の上昇です。この時点では、それで十分だと考えていました。
家賃と物件価値の関係(収益還元法)についてはこちらで解説しています。
👉 不動産投資で勝つための収益還元法|家賃1万円上げると物件価値が300万円上がる仕組み
その後、まさかの退去申し出
ところが、80,000円で更新することが決まった直後、入居者さんから退去したいという申し出がありました。
一度は合意した条件での更新のはずが、結果的には退去という形になり、物件は空室になりました。
空室を、あえてチャンスに変える
退去が決まった以上、次にやるべきは「どんな条件で再募集するか」の設計です。
このマンションは、家賃の最高値が80,000円の物件でした。そこで、再募集の総額を90,000円に設定しました。内訳は以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 賃料 | 74,000円 |
| 共益費 | 16,000円 |
| 合計 | 90,000円 |
ポイントは、賃料を74,000円に設定したことです。多くの入居希望者は「7万5,000円以下」といった賃料の上限でエリアを絞って物件を検索するのではないかと考えました。
総額としては90,000円というチャレンジングな水準を狙いながらも、賃料そのものは検索のフィルターに引っかかるように、あえて74,000円に抑え、差額を共益費側に乗せる形にしました。
結果:3週間程度で新しい入居者が決定
このマンションの最高値の部屋が80,000円という水準だったことを考えると、90,000円という総額はかなりチャレンジングな数字だと自分でも思っていました。それでも、まずは1ヶ月弱、この条件で募集をかけてみようと判断しました。
結果として、月の初め頃に募集を開始し、下旬には申し込みが入りました。募集月の末日までは前の入居者が住んでいたため、新しい入居者の入居は翌月の末日からとなりました。
想定していたよりもかなり早いペースで決まったことになります。
入居者のスクリーニングも実施
家賃だけでなく、入居希望者がどういう人かという点も確認しています。たとえば不動産会社関係者や社宅利用など、今後の運用上あまり好ましくないと考えられる属性がないかを確認し、問題がないことを確認した上で入居を承諾しました。
空室コストは22万円ほど
退去から新規入居までの間、当然ながら空室期間・費用は発生しています。礼金はなしとし、仲介手数料1ヶ月分・AD(広告料)1ヶ月分を負担する形になりました。空室期間中の家賃損分も含めると、今回の再募集にかかったコストは、合計で22万円ほどです。
一時的な出費ではありますが、これは後述する物件価値の上昇と比べると、十分に回収できる範囲だと判断しています。
原状回復費用はB社が負担
購入から3ヶ月というタイミングでの退去だったこともあり、原状回復費用は完全紹介制B社が全額負担してくれました。通常であれば15〜20万円ほどかかる費用です。購入後のこうした場面でしっかりサポートしてくれる体制は、あらためて心強いと感じました。
完全紹介制B社の詳細レビューはこちらです。
👉 完全紹介制B社の評判・口コミ|実際に3件購入した投資家がレビュー
月次キャッシュフローはどう変わったか
ここでは実際に手元に残るキャッシュフローがどう変化したかを見てみます。
| 項目 | 更新前(73,500円) | 値上げ後(90,000円) |
|---|---|---|
| 家賃収入 | +73,500円 | +90,000円 |
| ローン返済 | -69,500円 | -69,500円 |
| 管理費+修繕積立金+集金代行 | -13,550円 | -13,550円 |
| 月次キャッシュフロー | 約-9,550円 | 約+6,950円 |
更新前は毎月約9,550円の持ち出しでしたが、今回の値上げによって毎月約6,950円のプラスに転換しました。差額は16,500円ですが、毎月の赤字が黒字に変わったという点で、数字以上にインパクトのある結果だと感じています。
ローン返済額(月69,500円)に対して、家賃収入だけでほぼ賄えるどころか、経費を差し引いても手元にキャッシュが残る状態になったことになります。
結果:73,500円→90,000円、物件価値は+535万円
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 更新前家賃 | 73,500円 |
| 新規家賃 | 90,000円 |
| 増額幅 | +16,500円(+22.4%) |
| 年間収入インパクト | +198,000円 |
| 物件価値インパクト(実質利回り3.7%ベース) | 約+535万円 |
| 空室コスト | 約22万円 |
大阪の物件で、しかも22.4%という異例の上げ幅を実現できたのは、正直なところ運の要素もあったと思っています。ただ、それだけではなく、賃料と共益費の内訳を分けて検索フィルターを意識した価格設定にしたこと、そして退去という一見マイナスの出来事を再募集のチャンスとして捉え直したことが、結果につながったと感じています。
また、収益還元法で計算すると、年間家賃収入が198,000円増えたことになるので、実質利回り3.7%で割り戻すと、198,000円÷3.7%で約535万円の物件価値上昇です。空室コストとして投じた22万円と比べると、その20倍以上のリターンが返ってきた計算になります。
今回の賃料改定の前にセカンドオピニオンを活用しました
今回の賃料改定や再募集条件の設定については、不動産投資のセカンドオピニオンを活用しながら判断を進めました。
不動産投資では、「どこまで家賃を上げられるか」だけを見るのではなく、募集期間が長期化するリスク、周辺の賃料相場、収益性への影響など、複数の要素を考慮する必要があります。
今回は、同一マンション内の成約事例や周辺エリアの賃料水準をもとに、現在の市場環境においてどの程度の条件設定が適切なのかを相談しながら検討しました。
結果として、単純に現在の家賃から少し上げるという判断ではなく、現在の市場環境に合わせた条件設定を行うことで、収益改善につながる結果となりました。
もちろん、最終的な募集条件の決定や入居判断は私自身が行っています。セカンドオピニオンの役割は、答えを押し付けることではなく、投資家が根拠を持って判断できるように、客観的な情報や選択肢を整理することです。
今回のように、購入後の運用フェーズでは「購入したら終わり」ではなく、その後の賃料設定や収益改善についても継続的に見直していくことが重要だと感じました。
不動産投資のセカンドオピニオンの詳細レビュー記事はこちら
👉不動産投資で損しないために|買う前に相談すべきセカンドオピニオンサービス【実体験レビュー】
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まとめ
更新時の家賃交渉は、必ずしも「一度合意したら終わり」ではありません。今回のように、合意直後に退去という展開になることもあります。ただ、それを単なる想定外のトラブルとして捉えるのではなく、「相場に対してどこまで強気な条件で再募集できるか」を冷静に設計し直すことで、結果的に更新交渉よりも大きな成果につながることもあります。
賃料と共益費の内訳の分け方、検索フィルターを意識した価格設定など、今回得られた考え方は、他の物件の更新時にも活かせるポイントだと感じています。
今回のような家賃交渉や再募集の進め方について、ご相談やご質問がある方はお気軽にお問い合わせください。

