家賃をいくら上げれば金利上昇に勝てる?|金利2.5%・3.0%・3.5%を家賃換算で逆算

不動産投資

この記事で分かること

  • 金利上昇による返済額増・残債増を、家賃値上げでちょうど相殺するには月いくら必要か
  • 「キャッシュフロー基準」と「資産価値基準」で、必要な家賃値上げ額がなぜこんなに違うのか
  • 家賃上昇余地から逆算して、どこまでの金利上昇に耐えられるかを見る方法
  • 物件選びで見るべき新しい指標「家賃上昇余地÷借入残高」

前回のおさらい

前回の記事では、川崎の新築物件(借入3,390万円)のローン金利が2.15%から3.5%まで上昇した場合、10年後の残債が約282万円多くなるという試算を出しました。
👉 不動産投資ローンの金利が3.5%になったら?|2.15%・2.5%・3.0%・3.5%で検証

今回は、この負担を家賃値上げでちょうど相殺するには、実際いくら値上げすればいいのかを計算してみます。

キャッシュフローの損益分岐点:返済額増を家賃で相殺するには?

まず、5年後の返済額見直しで実際に増える金額を、そのまま家賃に転嫁する場合の必要額です。

なお、これは5年後の返済額見直し後(後半5年)に実際に発生する負担です。前回の記事で説明した通り、前半5年は5年ルールにより返済額そのものが変わらないため、この時点で慌てて家賃を上げる必要はありません。

金利5年後の返済額増相殺に必要な家賃値上げ額
2.50%+11,963円/月約12,000円/月
3.00%+23,088円/月約23,000円/月
3.50%+27,750円/月約28,000円/月

これは単純に「増えた返済額=上げるべき家賃」という考え方です。3.5%まで上がった場合、返済額の増加分をそのまま吸収しようとすると、後半5年で月2万8千円近い値上げが必要になります。

資産価値ベースの理論上の損益分岐点

一方、見方を変えて「10年後の残債増加分」を、家賃値上げによる理論上の物件価値上昇でカバーする場合を計算すると、必要な値上げ額はまったく違う数字になります。こちらは前半・後半を分けず、10年間トータルでの差分です。

金利10年後の残債差資産価値ベースの理論上の損益分岐点
2.50%約+60万円約1,850円/月
3.00%約+147万円約4,530円/月
3.50%約+282万円約8,700円/月

※収益還元法に基づき、利回り3.7%(川崎の物件での実績値)で理論上の物件価値に換算した場合の概算です。残債増加分は確定的な負担ですが、家賃値上げによる価値増は「売却時も同じ利回りで評価される」という前提の上に成り立つ理論値です。実際の売却価格が必ずこの通りになる保証はありません。

川崎の新築ワンルームの購入時の詳細はこちら
👉 新築なのに利回り3.7%|川崎の投資マンションを150万円値引きで買った話【体験談】

収益還元法についてはこちら
👉不動産投資で勝つための収益還元法|家賃1万円上げると物件価値が300万円上がる仕組み

なぜ「数万円」と「数千円」でこんなに違うのか

同じ金利上昇なのに、必要な値上げ額が3倍以上違うのは、見ている指標がそもそも違うからです。

キャッシュフロー基準は「毎月いくら追加で払うか」という単純な引き算です。一方、資産価値基準は「年間家賃を利回りで割り戻す」という計算のため、少額の家賃増でも大きな価値増に変換されます。年間12万円の家賃増(月1万円)が、利回り3.7%で割ると約324万円の価値増に相当するのはこのためです。

どちらが「正しい」わけではなく、見ている時間軸と目的が違います。毎月の家計を守りたいならキャッシュフロー基準、売却時のリターンを守りたいなら資産価値基準で考える、という整理になります。

逆に「家賃+1万円」なら、どこまでの金利上昇に耐えられる?

ここまでは「金利→必要な家賃」という向きで計算しましたが、逆に「家賃上昇余地→耐えられる金利」も出してみます。これは①と同じく、後半5年の返済額増を基準にした計算です。

川崎の新築物件は、現在の家賃が周辺相場よりおよそ1万円安い状態です。家賃上昇余地ごとに、後半5年の利息負担増をどこまで吸収できるかをまとめると、次のようになります。

家賃上昇余地年間増収吸収できる金利上昇幅の目安
+5,000円+6万円約+0.18%
+10,000円+12万円約+0.36%
+15,000円+18万円約+0.54%
+20,000円+24万円約+0.72%

現在の金利が2.15%であることを踏まえると、

  • 家賃+1万円の余地 → 約2.5%までの金利上昇を吸収可能
  • 家賃+2万円の余地 → 約2.9%までの金利上昇を吸収可能

という読み替えができます。

また、資産価値ベース(10年トータル)で見ても、家賃+1万円(年間+12万円、利回り3.7%換算で約324万円の理論上の価値増)は、今回検証した3.5%シナリオまでの残債増加分(約282万円)を上回ります。

少なくとも今回のシナリオの範囲では、家賃1万円の値上げ余地があれば、金利上昇分を理論上カバーできるということです。

損益分岐点ちょうどを狙うのは危ない

計算上、3.5%シナリオでも月8,700円の値上げで理論上相殺できることが分かりましたが、だからといって「ちょうど8,700円上げればOK」とは考えていません。

理由は、

  • 売却時の利回りが3.7%のまま維持される保証はない
  • 築年数が進むほど期待利回りは上がりやすい(=評価額は下がりやすい)
  • 管理費・修繕積立金が将来上がる可能性がある
  • 空室期間が発生すれば、その間の家賃収入はゼロになる
  • 狙った金額まで家賃を上げられる保証もない

があるからです。損益分岐点ぎりぎりの物件よりも、それを上回る家賃上昇余地がある物件の方が、金利上昇局面では安全だと考えています。

物件購入時に見るべき新しい指標:「家賃上昇余地÷借入残高」

ここまでの計算から言えるのは、「金利が1.9%だから良い」「2.5%だから悪い」という見方だけでは不十分だということです。

同じ金利でも、家賃に上昇余地がある物件とない物件では、金利上昇への実質的な耐性がまったく違います。これを一つの数値で表すなら、

家賃上昇余地(年間)÷ 借入残高

という指標が使えます。

川崎の新築物件で実際に計算すると、

家賃上昇余地:月1万円(年間12万円)
借入残高:約3,323万円

12万円 ÷ 3,323万円 ≒ 約0.36%

この数字は、前段で出した「家賃+1万円で吸収できる金利上昇幅(約0.36%)」と全く同じものです。つまりこの指標の中身は、「その物件が、借入残高に対してどれだけの金利上昇を家賃だけで吸収できるか」を表しています。

この形にしておくメリットは、借入額が違う物件同士でも比較できることです。たとえば借入額が半分の物件で家賃上昇余地が同じ1万円なら、この指標は約0.72%になり、金利耐性は2倍ということになります。物件を選ぶときは、金利の絶対値だけでなく、この比率が高い物件かどうかも見ておくと、金利上昇局面での実質的な防御力が測れると考えています。

物件選びの判断軸についてはこちらにまとめています。
👉 不動産投資における物件選びの5つの判断軸|6室購入した投資家の結論

私ならどうするか

川崎の新築物件については、周辺相場を見ながら約1万円の値上げを狙っていきます。それによって、

  • キャッシュフローの改善
  • 金利上昇への耐性
  • 売却価格の上昇

を同時に狙う形になります。

家賃の値上げ方法はこちら
👉 投資用マンションの家賃を上げる方法|交渉テクニックと進め方を解説

実際の家賃値上げ交渉はこちら
👉 家賃11,000円アップで物件価値330万円アップ|入居者との賃料改定交渉を公開

まとめ|「金利が何%まで上がるか」より「家賃をあと何円上げられるか」

金利上昇分を家賃で相殺しようとすると、キャッシュフロー基準では数万円、資産価値基準では数千円と、見ている指標によって必要な値上げ額は大きく変わります。逆に、家賃上昇余地から「どこまでの金利上昇に耐えられるか」を見ることもできます。

前回は金利上昇というリスクをどう測るかという記事でした。今回は、そのリスクに対して自分がどれだけの家賃という防御力を持っているか、という耐性の話です。金利は自分では動かせませんが、家賃の上げ余地がある物件を選び、育てておくことは、自分の努力でコントロールできる部分だと思っています。

今回の金利上昇で扱った内容は、以下の記事にもまとまっています。

金利上昇の全体像・対応策についてはこちら
👉 金利0.25%上昇|不動産投資に与える影響と対策

金利3.5%までの詳しいシミュレーションはこちら
👉 不動産投資ローンの金利が3.5%になったら?|2.15%・2.5%・3.0%・3.5%で検証

6室すべての実績データ(値引き・値上げ・利回り)はこちら
👉 購入した6室、全データ公開|東京・川崎・大阪、値引き・値上げ・物件価値の実績まとめ


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