この記事でわかること
- 2026年7月、首都圏の中古マンション成約価格に起きている変化と、東京23区との違い
- 賃貸マンションの家賃が、前年と比べて高い水準にある背景
- 首都圏のマンション価格が下がっても家賃が上がる3つの理由
- 東京・川崎・大阪で6室を保有している立場から見えること
- 価格調整局面でワンルーム投資を判断するときの視点
結論から言うと、2026年7月時点で、首都圏の中古マンションの成約㎡単価は前年同月を3か月連続で下回りました。一方、賃貸マンションの募集家賃は、前年同月比で上昇しています。売買価格と家賃が、逆の方向に動く可能性がある状況です。ただし、価格の下落は首都圏全体の平均の話で、東京23区の成約価格はまだ上昇しています。
私は現在、東京・川崎・大阪で合計6室の区分マンションを保有しています。今回は、東日本レインズなどの公表データを確認しながら、自分の保有物件の実感と重ねて整理してみます。
先に断っておくと、価格のデータは中古マンション全体(ファミリー型を含む)が対象で、家賃のデータは賃貸マンションが対象です。同じ物件群を直接比べたものではないため、「投資用ワンルームの価格が下がっている」とは断言できません。また、家賃の統計は、調査ごとに対象や定義が異なります。
※本記事のデータは、東日本不動産流通機構(東日本レインズ)「月例マーケットウオッチ 2026年7月度」(2026年8月10日公表)、アットホーム「2026年7月 全国主要都市の賃貸マンション・アパート募集家賃動向」、全国賃貸管理ビジネス協会「全国家賃動向(2026年7月調査)」によるものです(2026年10月時点で確認)。
① 首都圏の中古マンション成約価格に変化
東日本レインズの2026年7月度レポートによると、首都圏の中古マンション市場は次のとおりでした。
- 成約㎡単価:84.17万円/㎡(前年同月比-1.5%、3か月連続で下落)
- 成約価格:5,267万円(前年同月比-0.7%、3か月連続で下落)
- 成約件数:3,638件(前年同月比-8.6%、4か月連続で減少)
- 在庫件数:47,151件(前年同月比+5.5%、5か月連続で増加)
成約価格が前年を下回り、成約件数が減って在庫が増えている。数字だけ見ると、市場が調整局面に入り始めたように見えます。
ただ、売り出し価格との違いにも注目したいです。同じレポートでは、新規に登録された物件の㎡単価は117.86万円/㎡で前年同月比+20.4%、在庫物件の㎡単価は118.30万円/㎡で+28.2%でした。売り出し価格は上がり続けている一方で、実際に成約する価格は頭打ちになっている、という構図です。
また、エリアごとに動きは大きく違います。
| エリア(2026年7月) | 成約㎡単価(前年同月比) | 成約価格(前年同月比) | 成約件数(前年同月比) |
|---|---|---|---|
| 首都圏全体 | 84.17万円/㎡(-1.5%) | 5,267万円(-0.7%) | 3,638件(-8.6%) |
| 東京都全体 | 121.08万円/㎡(+1.2%) | 7,004万円(+2.2%) | 1,863件(-13.9%) |
| 東京都区部(23区) | 135.77万円/㎡(+2.7%) | 7,757万円(+3.4%) | 1,509件(-17.2%) |
| 横浜・川崎市 | 65.62万円/㎡(-2.5%) | 4,267万円(-3.3%) | 634件(-2.2%) |
※東日本レインズ「月例マーケットウオッチ 2026年7月度」より
表のとおり、東京23区は成約㎡単価・成約価格ともに前年同月を上回っています。東京都全体でも同じ傾向です。一方、成約件数は23区で前年同月比-17.2%と、7か月連続で減っています。つまり、23区は「価格は高止まり、取引は減少」、横浜・川崎市は「㎡単価・成約価格ともに前年を下回った」という状況です。
このため、「市場全体が下落に転じた」と判断するには早いと思っています。首都圏全体の平均が下がって見えるのは、エリアごとの動きが混ざった結果です。
下落の要因は、データだけでは断定できません。いくつかの仮説は立てられます。
ひとつは、金利上昇による住宅ローン負担の増加です。変動金利が上がれば、同じ物件でも月々の返済額が増え、購入者が出せる上限価格に影響します。
もうひとつは、価格の上昇による買い手の慎重化です。東京23区の中古マンション成約価格は依然として高い水準にあります。価格高騰によって購入できる層が限られている可能性もありますが、今回のデータだけで、原因を特定することはできません。
② 一方、賃貸マンションの家賃は前年比で上昇
アットホームの2026年7月の調査によると、マンションの平均募集家賃は、首都圏の全エリア(東京23区・東京都下・神奈川県・埼玉県・千葉県)と、名古屋市・京都市・大阪市・神戸市・福岡市の計10エリアで、全面積帯が前年同月を上回りました。
ただし、同じ調査では、25か月連続で最高値を更新していた東京23区のシングル向きが、26か月ぶりに下落したとも報告されています。前年と比べると高い水準ですが、直近は上昇の勢いが一服する動きも出ている、というのが正確な見方だと思います。
全国賃貸管理ビジネス協会の調査(2026年7月)では、地域別の単身向け家賃は次のとおりです。この調査は契約ベースで、一般的な募集賃料ベースの統計より、金額は低くなります。
| 都道府県 | 2026年7月の単身向け家賃(契約ベース) | 2019年比 |
|---|---|---|
| 東京 | 79,209円 | +16% |
| 神奈川 | 62,867円 | +9% |
| 千葉 | 56,318円 | +12% |
| 埼玉 | 56,846円 | +10% |
| 大阪 | 60,161円 | +9% |
※全国賃貸管理ビジネス協会「全国家賃動向(2026年7月調査)」より。募集賃料ベースの統計とは水準が異なります。各地域の集計条件も異なるため、単純な横比較はできません。
家賃が上昇している背景には、いくつかの要因が考えられます。住宅の購入価格が高く、「買いたくても買えない」層が賃貸に留まっているという需要のシフト。都心回帰や単身世帯の増加による、賃貸需要の底上げ。ただし、これらは仮説であり、今回のデータだけで原因を断定することはできません。
③ 首都圏のマンション価格が下がっても家賃が上がる3つの理由
売買価格と家賃は、それぞれ異なる要因で動きます。
理由1:売買価格は、金利と融資環境に左右される
売買価格には、金利、投資家の期待利回り、融資環境が強く影響します。金利が上がれば、同じ家賃収入でも物件価格は下がる方向に働きます。
👉 金利0.25%上昇で年15万円負担増|不動産投資への影響と対策
理由2:家賃は、賃貸需要と供給で決まる
家賃は、働く場所の集中、人口移動、新築供給量といった賃貸需要と供給のバランスで決まります。金利の動きは、直接は反映されにくいです。そのため、金利上昇で物件価格が下がる局面でも、賃貸需要が旺盛であれば、家賃は上がることがあります。
理由3:家賃が上がっても、利回りが上がると物件価格は下がる
収益還元法で考えると、これは数字で確認できます。年間家賃120万円の物件を例に、投資家が求める利回りが変わったときの物件価格を試算します。
| 想定利回り | 物件価格(試算) |
|---|---|
| 4.0% | 3,000万円 |
| 4.5% | 2,667万円 |
| 5.0% | 2,400万円 |
※年間家賃÷想定利回りによる単純試算です。管理費・修繕積立金・取引費用等は含みません。
利回りが4.0%から5.0%に上がると、同じ家賃でも物件価格は3,000万円から2,400万円に下がる計算です。では、家賃も同時に上がったらどうなるでしょうか。
| ケース(年間家賃120万円・利回り4.0%が基準) | 物件価格(試算) |
|---|---|
| 現状 | 3,000万円 |
| 家賃+5%、利回り4.0% | 3,150万円 |
| 家賃+5%、利回り4.5% | 2,800万円 |
| 家賃+10%、利回り5.0% | 2,640万円 |
※年間家賃÷想定利回り。管理費・修繕積立金などは考慮しない、一定の利回りを仮定した参考試算であり、実際の売却価格を示すものではありません。
家賃が10%上がっても、利回りが5.0%まで上がれば、物件価格は現状より下がります。「家賃が上がったからといって、資産価値も上がるとは限らない」。ここが、今回のデータを読むうえで大事なポイントだと思っています。
収益還元法の詳しい解説はこちらです。
👉 不動産投資で勝つための収益還元法|家賃1万円上げると物件価値が300万円上がる仕組み
④ 実際に6室保有している私の物件で起きていること
市場データを踏まえながら、自分の保有物件の状況を整理してみます。
東京の保有物件では、入居者との賃料改定交渉で、月額11,000円の家賃アップに成功しました。
👉 家賃11,000円アップで物件価値377万円アップ|入居者との賃料改定交渉を公開
大阪の物件でも、月額16,500円の引き上げを実現しました。
👉 家賃16,500円アップで物件価値535万円アップ|入居者との賃料改定交渉から入居募集まで公開
川崎の新築投資マンションは、2026年9月に入居者が退去した後、新たに募集して成約しました。賃料と管理費の合計でみると、旧条件は105,000円(賃料95,000円+管理費10,000円)、新条件は110,000円(賃料89,000円+管理費21,000円)で、合計では月5,000円・年間6万円の増収です。賃料単体は95,000円から89,000円に下がっていますが、管理費を見直して、合計を引き上げています。
同じマンション内に約12室の空室が出るという厳しい環境でしたが、賃料を「9万円未満」に設定して検索に引っかかりやすくする工夫で、条件変更後1週間で成約しました。詳細はこちらで公開しています。
👉 家賃5,000円アップで物件価値162万円アップ|入居者の退去から入居募集まで公開
川崎の物件の購入時の実質利回り3.7%を、仮の還元利回りとして割り戻すと、年間60,000円の家賃増収は、次の試算になります。
60,000円 ÷ 3.7% ≒ 162万円
これは、一定の利回りを仮定した簡易的な参考試算です。実際の売却価格は、築年数・金利・周辺の取引事例・買主の融資条件によって変わります。また、この試算は賃料と管理費の合計額で評価される前提で、賃料単体で評価される場合は、効果が小さくなる可能性があります。
先ほどの表のとおり、川崎市を含む横浜・川崎市では、成約㎡単価が前年同月比-2.5%と下落しました。売買価格が前年を下回るエリアでも、家賃は上げることができた。これが、私の保有物件で起きたことです。
⑤ 2026年は、ワンルームマンションの買い時なのか
中古マンションの成約価格に調整の兆しが出ているからといって、それだけで「買い時」と判断するのは早いと思っています。
重要なのは、購入価格と家賃・利回りの関係が、投資として成立しているかどうかです。価格が下がっても、家賃収入に見合わない物件であれば、収益は出ません。管理費・修繕積立金が高い物件、老朽化が進んでいる物件、金利上昇後にキャッシュフローがマイナスになる物件は、価格が下がっていても注意が必要です。
今の相場環境では、現在の家賃が周辺相場より低く設定されている物件が有利に動きやすい、と私は考えています。退去・更新のタイミングで家賃を引き上げられれば、収益が改善します。ただし、値上げが実現するかどうかは、立地・築年数・物件の状態によって異なります。相場と現状家賃のギャップがある物件を見つけたときは、なぜそのギャップが生まれているのかを確かめることが先決です。
👉 投資用マンションは「家賃が安い物件」ほど狙い目?|家賃1万円の差で物件価値300万円
購入前に確認したいことは、こちらにまとめています。
👉 投資用マンション、購入前に確認したい7つのポイント|6室購入した投資家の結論
6室すべてを5年後・10年後に売った場合の試算は、こちらです。
👉 ワンルームマンション6室、5年後・10年後に売ったらいくら?|家賃・金利・利回りでシナリオ分析
まとめ
2026年7月のデータでは、首都圏の中古マンションの成約㎡単価が3か月連続で前年を下回る一方、賃貸マンションの募集家賃は前年同月比で上昇しています。ただし、価格の下落は首都圏全体の平均の話で、東京23区の成約価格はまだ上昇しており、エリアごとの動きは異なります。
売買価格と家賃が異なる要因で動くのは、構造から説明できます。金利が上がれば、同じ家賃収入でも物件価格には下押し圧力がかかります。賃貸需要が旺盛であれば、物件価格の動きに関係なく、家賃は上がることがあります。そして、家賃が上がっても、利回りが上がれば物件価格は下がる場合があります。
自分の保有物件でも、東京・川崎・大阪でそれぞれ家賃の引き上げを実現してきました。既存物件の収益改善を積み重ねながら、出口戦略を意識した保有を続けることが重要だと感じています。
価格が下がり始めたからといって、すぐに動くのではなく、購入価格・家賃・金利・管理コスト・出口を総合的に判断すること。それが、長く続けられる投資につながると思っています。
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参考資料・データ出典(2026年10月時点で確認)
