家賃5,000円アップで物件価値162万円アップ|入居者の退去から入居募集まで公開

不動産投資

この記事でわかること

  • 滞納による退去が発生した経緯と、家賃収入を1ヶ月分失った話
  • 同じマンションで約12室が空室になった中での募集戦略
  • 115,000円では決まらず、110,000円に変更して1週間で決まった理由
  • 家賃5,000円アップによる年間収入・物件価値への影響
  • 空室コストの内訳と回収期間の試算

結論から言うと、約12室が同時に空室になる中でも、賃料を「9万円未満」に見直して条件を変えたことで、条件変更後1週間で成約しました。月額5,000円・年間6万円の増収で、収益還元法では約162万円の物件価値向上に相当します。

はじめに

私は現在、東京・川崎・大阪で合計6室の区分マンションを保有しています。今回紹介するのは、そのうちの1室、川崎の新築投資マンションです。

購入時には150万円の値引きを受け、実質利回り約3.7%で取得した物件です。購入時の経緯はこちらで紹介しています。
👉 新築なのに利回り3.7%|川崎の投資マンションを150万円値引きで買った話【体験談】

2026年9月初旬、この物件で退去が発生しました。

同じマンションで同時期に約12室もの空室が出るというタイミングで、募集には不利な状況でした。それでも結果的には、従来より月5,000円高い家賃で新しい入居者が決まりました。

その経緯と収支を公開します。

なお、この記事では「賃料+管理費」の合計を「家賃」として数えています。

① 退去の経緯|滞納による退去で10月分の家賃収入を失った

もともとの家賃設定はこちらです。

項目金額
賃料95,000円
管理費10,000円
合計105,000円

9月上旬、管理会社から「9月30日付で退去する」という連絡がありました。

この物件の契約では退去予告は2ヶ月前が原則です。1ヶ月前の通告だったため、「10月末まで家賃収入が発生するのでは」と管理会社に確認しました。

実際には、入居者が家賃を滞納しており、保証会社による代位弁済が行われていたとのことでした。9月30日に明渡しとなる予定で、10月分の家賃収入は見込めないという説明を受けました。

保証会社が入っていたため、それまでの滞納分は補填されていました。ただ、本来2ヶ月分の予告期間中に受け取れるはずだった10月分の家賃は発生せず、すぐに次の入居者探しが必要になりました。

なお、退去予告期間や保証会社による補償の扱いは、契約内容・退去経緯によって異なります。

② 最初の募集条件|115,000円で強気に設定

退去が決まり、すぐに募集条件を検討しました。

項目従来最初の募集条件
賃料95,000円95,000円
管理費10,000円20,000円
合計105,000円115,000円
礼金―0円

新築・築浅物件であることと周辺の相場を踏まえ、まずは115,000円で募集してみることにしました。

ただ、タイミングが良くありませんでした。

③ 同じマンションで約12室が同時空室に

管理会社から聞いた話では、社宅の退去などが重なり、同じマンションで同時期に約12室が空室になっていたようです。HOMESにも実際に12件ほど同じマンションで空室物件が掲載されていました。

投資用区分マンションの場合、同じ建物の空室は直接の競合になります。今回は同じような間取りの部屋で、私の部屋より上層階の住戸も近い価格帯で募集されていました。同じ金額なら上の階を選ぶ入居者が多いのは自然なことです。

115,000円で約1ヶ月募集しましたが、入居者は決まりませんでした。

希望額にこだわり続けるよりも、条件を見直して早期に入居者を確保する方が合理的だと判断しました。

④ 110,000円に変更|「賃料9万円未満」を意識した設計

変更後の募集条件はこちらです。

項目最初の募集変更後
賃料95,000円89,000円
管理費20,000円21,000円
合計115,000円110,000円
礼金0円0円

最初の募集と比較すると月額合計では5,000円の値下げですが、もともとの105,000円と比べると5,000円の値上げです。賃料単体は95,000円から89,000円に下がっていますが、管理費を10,000円から21,000円に見直して、合計では5,000円の増額としています。

今回意識したのは、賃料を89,000円にして「9万円未満」に設定することです。

賃貸ポータルサイトでは賃料の上限を設定して検索する人が多く、「9万円未満」で探している人にも表示されることを狙いました。サイトによっては管理費込みで絞り込める機能もあるため、必ずしも露出が増えるわけではありませんが、取れる工夫はしておきたいと考えました。

条件変更後、1週間で新しい入居者が決まりました。

なお、今回は礼金を0円に設定しています。今回契約している管理会社では礼金を設定して、その収入で仲介会社向けの広告料(AD)を賄う運用をしていました。しかし、今回は礼金なしにしたため、広告料89,000円は全額自己負担になっています。

⑤ 家賃5,000円アップで年間収入は6万円増加

今回の家賃改定の効果はこちらです。

項目改定前改定後差額
月額収入105,000円110,000円+5,000円
年間収入1,260,000円1,320,000円+60,000円

年間6万円の収入増加です。1室だけで見ると小さな金額ですが、保有物件全体で積み重なれば、キャッシュフローの改善につながります。

⑥ 収益還元法では、理論上約162万円の資産価値向上

私が不動産投資で重視しているのは、毎月のキャッシュフローだけではありません。家賃を上げることで、将来の売却価格にもプラスの影響が出る可能性があります。

年間6万円の家賃増加を、購入時の実質利回り3.7%で割ると、

60,000円 ÷ 3.7% ≒ 162万円

利回りが変わらないと仮定すれば、収益還元法により理論上は約162万円の資産価値向上に相当します。

収益還元法についてはこちらで詳しく解説しています。
👉 不動産投資で勝つための収益還元法|家賃1万円上げると物件価値が300万円上がる仕組み


もちろん実際の売却価格は、築年数・金利・周辺の取引事例・買主の融資条件などによって変わります。家賃が5,000円上がったからといって、必ず162万円高く売れるわけではありません。

ただ、月5,000円の家賃値上げが、売却時に100万円以上の価格差につながる可能性があるというのは、区分マンション投資の重要な特徴だと思っています。

過去の家賃増額交渉記事でも同様の考え方をしています。
👉 家賃11,000円アップで物件価値377万円アップ|入居者との賃料改定交渉を公開
👉 家賃16,500円アップで物件価値535万円アップ|入居者との賃料改定交渉から入居募集まで公開

⑦ 空室コストの内訳

今回の空室で発生したコストはこちらです。

項目概算金額
仲介会社向け広告料(AD)89,000円
空室1ヶ月分の家賃収入減少95,000円
原状回復費未確定(築浅のため数万円程度を見込む)
合計約184,000円+原状回復費

ここで数えているのは、家賃収入の減少と広告料のみです。原状回復費はまだ確定していません。築浅物件のため大きな金額にはならないと見込んでいます。

仮に原状回復費が50,000円だとすると、合計約244,000円。年間6万円の増収で割ると、約4.1年に相当する金額です。

ただし、空室コストは、家賃を上げたかどうかにかかわらず、退去が起きた時点で発生するものです。上の計算は、「今回の空室コストが、増収分で何年分にあたるか」の目安として見てください。今回の退去は自分で選んだものではありませんが、旧賃料のまま再募集するよりも、家賃を引き上げて長期的な収益改善を目指す方が合理的だと考えています。

⑧ 今回感じたこと

空室は、家賃を見直せる最大のタイミング

入居者がいる状態で家賃を上げるには増額交渉が必要です。交渉は手間がかかり、同意が得られるとも限りません。

退去後の新規募集であれば、その時点の相場に合わせて自由に賃料を設定できます。今回も、退去をきっかけに5,000円の値上げができました。

過去の増額交渉記事と合わせて、入居者の入れ替えを収益改善の機会として捉える視点は、引き続き持っておきたいと思っています。

高い家賃を「設定する」ことと「実際に入居してもらう」ことは別

当初の115,000円では約1ヶ月決まりませんでした。強気の設定から始めること自体は正しいと思いますが、市場の反応を見ながら柔軟に変更する判断も同じくらい大事です。

毎月の家賃だけでなく、売却まで含めた総収益で考える

私は区分マンションを長期保有することを前提にしていません。基本的には5〜10年程度の保有を想定し、賃料改善と将来の売却益を重視しています。

今回のような家賃値上げは、毎月の収入だけでなく、売却時の評価にも影響する可能性があります。入居者の入れ替えは空室リスクである一方、物件の収益性を改善するチャンスでもあります。

家賃に上昇余地がある物件を選ぶ理由は、こちらで解説しています。
👉 投資用マンションは「家賃が安い物件」ほど狙い目?|家賃1万円の差で物件価値300万円

家賃を上げられた場合と据え置きの場合で、5年後・10年後の売却結果がどう変わるかは、こちらです。
👉 ワンルームマンション6室、5年後・10年後に売ったらいくら?|家賃・金利・利回りでシナリオ分析

まとめ

今回の川崎の物件では、滞納による退去から始まり、同じマンションで約12室が空室になるという厳しい環境での募集でした。

115,000円では約1ヶ月決まらず、110,000円に変更してから1週間で成約。最終的に月額5,000円・年間6万円の収入増加を実現しました。

収益還元法の簡易計算では、約162万円の資産価値向上に相当します。

空室コストは現時点で約19万円(家賃収入の減少と広告料。原状回復費は確定後に更新予定)かかっており、すべてが利益というわけではありません。それでも、保有中にどれだけ家賃を改善できるかが、区分マンション投資の収益を左右すると改めて感じています。

今後も実際の運用数字を公開していきます。

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