この記事で分かること
- 「仲介の方が高く売れるのでは」という疑問について、知人のファイナンシャルプランナーと話して感じたこと
- 仲介と買取、それぞれの仕組みの違い
- 業者買取の価格が理論値より低くなりやすい理由と、実際の差の水準
- 仲介手数料・契約不適合責任など、価格以外に見ておきたいポイント
- 東京・大阪で実際に取った買取査定の結果と、私がどう判断したか
投資用マンションを売るなら「仲介の方が高い」と思っていた
結論から言うと、仲介と買取のどちらが有利かは、最終的な手取りで比べる必要があります。私は東京・大阪の2室で買取査定を取り、理論値との差は10%程度でした。今回はどちらも売らずに保有を続けています。
不動産を売却するとき、多くの人が最初に思うのはこうだと思います。
「買取業者に売ると、業者の利益が入る分だけ価格が下がる。それなら、仲介で直接買主を探した方が高く売れるのでは?」私も最初はそう思っていました。
実際、6室を保有する中で出口戦略を考えるようになり、東京・大阪の2室について買取査定を取得しました。その過程で、普段から物件購入や査定について話を聞いている知人のFP(ファイナンシャルプランナー)に、私が感じていた疑問をそのまま聞いてみました。
すると、参考になる話を聞くことができました。
「投資用ワンルームの場合、仲介だけでなく、買取という方法も含めて比較してみてもいいかもしれません」
これはあくまで、このFPがこれまでの経験や見聞きした事例をもとに話してくれた内容です。
この話を聞いて、私自身も、買取の価格が実際にどのくらいなのか気になりました。家賃を上げた物件の含み益を確認したいと思っていたこともあり、査定額と理論値の差を確かめてみました。
今回は、その結果を踏まえて、自分なりに考えたことを整理してみます。
そもそも「仲介」と「買取」は何が違うのか
まず基本的な仕組みを整理します。
仲介
- 不動産会社に買主を探してもらう
- 売主と最終的な買主が直接売買契約を結ぶ
- 成約すれば仲介手数料が発生する
- 買主が見つかるまで期間が必要
買取
- 不動産会社・買取業者自身が買主になる
- 直接買取なら、原則として仲介手数料は発生しない
- 査定額に納得すれば、比較的早く売却を進められる
- 業者はその後再販するため、利益を確保する必要がある
この時点では、まだどちらが良いとは言えません。それぞれ性質やメリットが違う、というだけです。
なぜ「仲介の方が高く売れる」と考えたのか
例えば、最終的な投資家に3,000万円で売れる見込みの物件があるとします。買取業者は、その3,000万円でそのまま買い取るわけではありません。再販にかかるコストや自社の利益を確保する必要があるため、それより安く仕入れる必要があります。
だとすると、「業者に売るより、仲介で直接、その3,000万円に近い金額を払ってくれる買主を探した方が得なのでは」と考えるのは自然な発想です。
このFPが話していたこと
このFPにこの疑問をそのまま聞くと、あくまで個人的な経験や印象として次のような話がありました。
- ワンルームを仲介で購入する一般の個人投資家は、体感としてそこまで多くない気がする
- 仲介で買主を探した結果、最終的には買取業者が買主になるケースも見聞きする
- そうしたケースもあり得ることを踏まえると、複数の買取業者に直接査定を取っておくのも一つの考え方ではないか
- 業者ごとに買取価格は異なるので、1社だけで判断しない方がよさそう
ここで紹介しているのは、あくまで私が個人的に話を聞いた際の印象・経験談です。
このFPから「仲介より買取が良い」といった具体的な売却方法を勧められたわけではありません。
また、実際にどう進めるかは、エリアや物件の種類、売却時の市況、依頼する会社などによっても事情が変わってくるはずです。
そのため、FPから聞いた内容をそのまま判断材料にするのではなく、私自身でも査定を取ったり、条件を確認したりしながら考えることにしました。
仲介で押さえておきたい「仲介手数料」と売却後の責任
価格だけを比較する前に、押さえておきたいポイントがもう一つあります。
仲介の場合、提示された売却価格がそのまま手取りになるわけではありません。仲介手数料が発生するため、実際の手取りはそこから差し引かれます。国税庁も、不動産売却時の仲介手数料を「譲渡費用」の一つとして明示しています。(国税庁:譲渡費用となるもの)。
また、仲介で自分が売主として買主と直接契約する場合、契約不適合責任(引き渡した物件に問題があった場合の責任)を、自分が負う形になるケースがあります。一方、買取業者に売却した場合、その後業者が別の投資家に再販する際の売買契約では、買取業者自身が売主になります。
ただし、「買取なら売却後の責任が必ずゼロになる」というわけではありません。責任の範囲は、実際の売買契約の内容によって変わります。この点は、契約書の内容を個別に確認する必要があります。
仲介の場合、買主側の融資や自己資金も考える必要がある
もう一つ、私自身が調べていて気になったのが、仲介で購入する買主側の資金調達についてです。
仲介での投資用不動産では、いわゆるプロパーローンなど、金融機関に直接案件を持ち込んで、審査や条件に基づいて融資を組むケースがあります。
融資によって物件価格をまかなえたとしても、仲介手数料やその他の諸費用まで、すべて融資に含められるとは限りません。そのため、買主側で一定額の自己資金を用意する必要が出てくる場合があります。
特にワンルームマンションの場合、購入時にまとまった自己資金を入れると、その分だけ投資としての資金効率の魅力が小さく感じられることもあります。
そう考えると、仲介で売りに出した場合でも、
「その価格で購入したい」
「必要な自己資金を用意できる」
「金融機関から希望する条件で融資を受けられる」
という買主が、実際にどれだけいるのかは一つのポイントになります。つまり、「仲介ならエンドの投資家に売れるから、必ず買取より高く売れる」とは限りません。
もちろん、物件の条件や買主の属性、金融機関の融資条件などによって状況は変わります。
だからこそ、売出価格だけを見るのではなく、「その価格で実際に購入できる買主がいるのか」というところまで考える必要があると、私は感じました。
仲介の方が有利になるケースももちろんある
ここまで読むと買取に寄った話に見えるかもしれませんが、仲介が不利というわけではありません。
もし、買取業者の最高査定額を、仲介手数料などを差し引いても十分に上回る価格で、最終的な投資家へ売却できる見込みがあるなら、仲介を選ぶ合理性は十分にあります。
腕の良い担当者に出会えれば、仲介ならではの高値売却につながる可能性もあります。
重要なのは、「仲介の売出価格」と「買取査定額」を表面的に比べるのではなく、最終的な手取り額と、実際に売れるまでの条件を含めて比較することです。
私は東京・大阪の2室で実際に買取査定を取った
ここで、実際に自分の物件で行ったことを書きます。ただし、売却するつもりで取ったわけではありません。家賃を上げた物件が、いま買取市場でどのくらいで評価されるのか、含み益がどのくらいあるのかを確かめるために、試しに取ったものです。
東京・大阪の2室について、同じ買取業者に査定を依頼したところ、収益還元法で計算した理論値と実際の査定額との差は、10%程度でした。この差には、業者の利益や再販にかかるコストなどが含まれていると考えられます。
この10%という数字は、一般論として調べたものではありません。私が実際に自分の物件で査定を取った結果を、理論値と突き合わせて逆算した数字です。
もちろん、売却が目的ではなかったので、私が取った査定は1社分だけです。業者や物件によって差はあるはずですが、少なくとも私が経験した範囲では、この水準感でした。
👉 購入半年で含み益240万円|東京の物件の家賃を上げたので買取査定を取ってみた話
👉 購入半年で含み益439万円|大阪の物件も買取査定を取ってみた話
なお、売却益には譲渡所得税がかかります。所有期間が売却年の1月1日時点で5年を超えるかどうかで税率が変わり、5年以下(短期譲渡)の方が高くなります。詳しくは国税庁の「譲渡所得の計算のしかた(分離課税)」や、税理士にご確認ください。
なぜ理論値と査定額にこの差が生まれるのか、収益還元法の理論価格から実際の買取価格までの流れは、以前の記事で詳しく整理しています。
👉 ワンルームマンションの価格はどう決まる?|3,000万円の物件を3,000万円では売れない理由
結果として、どちらの物件も、この時点では売却せず保有を継続するという判断をしています。
私なら「仲介か買取か」をこう判断する
私自身は今回、売るつもりがなかったので1社の査定しか取っていません。もし実際に売却を考えるなら、次の順で判断します。
- まず複数の買取業者から査定を取る
- 最高の買取価格を把握する
- 残債・税金・諸費用を踏まえて、実際の手取りを計算する
- 仲介なら、それを上回る手取りを現実的に狙えるかを考える
- 売却するか、そもそも保有を継続するか判断する
大事なのは、「仲介か買取か」を最初に決める必要はないということです。
まず自分の物件が、実際にいくらで評価されるのかを把握することが先です。
実際、私自身も査定を取った結果、「今は売らずに保有する」という第三の選択肢を取りました。
👉 投資用マンションは5年で売るべき?|6室保有して考えた「本当の売り時」
一社の査定だけで売却を決めない
同じ物件でも、業者によって想定する再販価格、必要とする利益率、在庫状況、得意なエリア、販売ルートなどが違うため、買取査定額が同じとは限りません。
だからこそ、「仲介か買取か」を考える以前に、1社だけの査定で物件の価値を判断しないことが重要だと思っています。
売却時に複数の買取業者へ見積もりを取り、条件を整理してくれるサポートもあります。私は売却の経験はまだありませんが、購入時から相談しているFPがサポートしてくれます。
👉 不動産投資で損しないために|買う前に相談すべきセカンドオピニオンサービス【実体験レビュー】
まとめ|大切なのは「仲介か買取か」ではなく最終的な手取り
仲介なら高く売れて、買取なら安くなる、と単純に決めつけることはできません。それぞれにメリットとデメリットがあります。
投資用ワンルームでは、まず複数の買取査定を取って現在の売却価格を把握し、仲介手数料や売却後の責任、実際に売れるまでの期間、さらに買主側の融資や自己資金の条件なども含めて比較することが大切です。
そして、条件が合わなければ、「今は売らない」という選択肢もあります。私自身、東京・大阪の2室について実際に査定を取りましたが、今回はどちらも保有継続を選びました。
仲介と買取のどちらが正解かを最初から決めるのではなく、それぞれの条件を確認したうえで、自分にとって納得できる選択肢を考える。これが、私が売却について考えている基本的な姿勢です。
6室すべてを5年後・10年後に売った場合の試算は、こちらです。
👉 ワンルームマンション6室、5年後・10年後に売ったらいくら?|家賃・金利・利回りでシナリオ分析
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