サブリース契約をすすめられたら断れ|構造から見る6つの弱点

不動産投資

この記事でわかること

  • サブリース契約の仕組みと三者関係
  • 費用負担がどれだけ大きいか(集金代行との4年間比較)
  • 東京23区では空室保証が不要なケースが多い理由
  • 家賃値上げの恩恵を享受しにくい理由
  • 「家賃保証」なのに減額請求される矛盾
  • 売却時にも不利になる理由
  • 借地借家法でサブリース会社が守られるため解約が困難な構造

はじめに

不動産投資を始めようとすると、不動産会社から「サブリース契約にしておけば安心ですよ」と言われることがあります。空室でも家賃が入ってくる、管理が楽になる、というのが主な説明です。

2020年に施行されたサブリース新法により、家賃保証のメリットだけを強調する誇大広告が禁止され、契約前の重要事項説明も義務化されました。この影響もあってか、新規でサブリース契約を積極的に勧めてくる会社は、以前より減ってきている印象があります。それでも、サブリース契約を提案してくる会社は今でも一定数存在します。また、新しくサブリース契約を付けるケースだけでなく、前のオーナーがすでにサブリース契約を結んだまま物件を売却し、購入した時点でサブリース付きの中古物件になっている、というケースもあります。

私自身は、サブリース契約を一切使っていません。理由は構造的にオーナーにとって不利になりやすいからです。

この記事ではサブリース契約がなぜ不利になりやすいのかを、仕組みから順番に説明します。

6室すべての管理体制についてはこちらにまとめています。
👉 購入した6室、全データ公開|東京・川崎・大阪、値引き・値上げ・物件価値の実績まとめ


そもそもサブリース契約とは何か

サブリース契約とは、不動産会社(サブリース会社)がオーナーから物件を借り上げ、その物件を入居者に転貸する契約です。

関係者は3者います。

オーナー → サブリース会社 → 入居者

通常の賃貸では「オーナー → 入居者」という賃貸借の関係ですが、サブリース契約ではサブリース会社が直接の賃借人になります。サブリース会社はオーナーから物件を借りて入居者に貸し、入居者から受け取った家賃からマージンを取ってオーナーに支払います。

なお、契約形態によっては4者になるケースもあります。「サブサブリース」と呼ばれる方法で、サブリース会社がさらに別のサブリース会社に貸し出す形です。

「空室保証・原状回復費用・設備故障費用がすべて保障される」と説明されることがありますが、これは誤解であることが多いです。

実態はこうです。

  • 空室保証:一定の家賃は保証されますが、後述するように定期的に減額請求されることがあります。ここで勘違いされやすいのは、借地借家法はオーナー側にも適用されるということです。サブリース会社から減額を求められても、オーナー側がその交渉に必ず応じなければならないわけではありません。 
  • 原状回復費用:契約によって負担者が異なります。オーナー負担とされる契約もあれば、サブリース会社(不動産会社)が負担する契約もあり、一律に決まっているわけではありません。「全部保障される」という説明を鵜呑みにせず、契約書のどこに原状回復費用の負担者が明記されているか、事前に確認しておくことが重要です。 
  • 設備故障費用:オーナー負担が一般的とされていますが、不動産会社によっては会社側が負担するケースもあります。契約前に必ず確認すべきポイントです。 

つまりサブリース契約は「すべてお任せできる安心な契約」ではありません。


①費用負担が大きすぎる

手数料の相場

サブリース契約の手数料は家賃の10〜15%程度が相場です。

一方、集金代行の手数料は家賃の3〜5%程度が一般的で、安いところでは月額固定で数千円というところもあります。私が実際に契約している集金代行の手数料は、安いところで月1,000円程度、高いところで月3,000円程度です。

契約形態手数料率家賃10万円の場合
サブリース契約10〜15%月1〜1.5万円
一般管理委託5%月5,000円
集金代行のみ3〜5%(定額の場合は月数千円)月3,000円〜

4年間で比較するとどうなるか

同じ条件で4年間のコストを比較してみます。

東京23区の投資用ワンルームマンションの平均入居率は98%前後で推移しています。これを月数に直すと、100ヶ月のうち空室期間はおよそ2ヶ月、つまり50ヶ月に1回、おおよそ4年に1回のペースで空室が発生する計算になります。

以下の比較は、この「4年に1回、1ヶ月の空室が発生する」という前提で行っています。

集金代行の場合(4年間)

  • 集金代行手数料:3,000円×48ヶ月=14.4万円
  • 空室1回(4年に1回):家賃1ヶ月10万円+原状回復費約15万円=25万円
  • 合計:約39万円

サブリース契約の場合(4年間)

サブリース契約では空室でも家賃が保証されるため、空室ロス自体は発生しません。一方、原状回復費用は契約によってオーナー負担のケースと、サブリース会社(不動産会社)負担のケースがあります。

  • 手数料15%:15,000円×48ヶ月=72万円
  • 原状回復費用:オーナー負担の契約なら約15万円、会社負担の契約なら0円

つまり合計は、原状回復費用がオーナー負担なら約87万円、会社負担なら約72万円になります。

差額

集金代行(約39万円)と比べると、

  • 原状回復費用がオーナー負担のサブリース契約:差額 約48万円
  • 原状回復費用が会社負担のサブリース契約:差額 約33万円

どちらのケースでも、4年間で30万円台〜50万円近い差が生まれる計算です。原状回復費用の負担がどちらになっているかで金額は変わりますが、いずれにしても手数料の高さがそのまま大きなコスト差につながっていることに変わりはありません。契約書のどこに原状回復費用の負担者が明記されているか、必ず確認しておくことをおすすめします。

重要なのは、サブリース契約では「空室でも家賃が保証される」と説明されることが多いですが、実際には空室そのものがなくなるわけではないという点です。サブリース会社から見れば、入居者がいてもいなくてもオーナーへの支払いは変わらないように見えますが、それは裏を返せば、サブリース会社自身が空室リスクを負っている分のコストを、あらかじめ高い手数料としてオーナーから徴収している、ということでもあります。

賃貸管理会社の実際の業務範囲についてはこちらで詳しく解説しています。
👉 家賃の3.5%も払う価値はある?|6室保有して分かった賃貸管理会社の仕事


②空室保証が不要なケースが多い

サブリース契約の最大のセールスポイントは「空室でも家賃が入る」という空室保証です。しかし実態を見ると、この保証に高コストを払う合理性は小さいと考えています。

東京23区の投資用ワンルームマンションの入居率は98%前後で推移しています。実態として空室が発生するのは3〜4年に1回・約1ヶ月程度です。

空室1ヶ月のロスは家賃1ヶ月分の約10万円。一方でサブリース契約の手数料は年間12〜18万円かかります。空室保証のコストの方が、実際の空室リスクよりもはるかに大きくなりやすいのです。

空室保証が意味を持つのは入居率が低い物件や需要が不安定な物件です。

まずは集金代行との比較を冷静に行うべきだと考えています。


③家賃値上げの恩恵を享受しにくい

私が不動産投資で重視しているのは家賃の値上げです。家賃を上げることで月次CFが改善し、収益還元法上の物件価値も上がります。

しかしサブリース契約ではこの恩恵を享受しにくい構造になっています。

入居者の賃料が上がっても、その増額分がオーナー側に十分反映されない契約も多く、家賃アップの恩恵を受けにくいのがサブリースの弱点です。オーナーに入ってくる金額はサブリース会社との契約で決まっており、入居者の家賃が上がってもオーナーの取り分が変わらないケースが一般的です。

家賃値上げ→物件価値向上→キャピタルゲインという投資戦略は、サブリース契約では成立しにくくなります。また、オーナーの意思で家賃を上げたいと申し出ても、賃借人はサブリース会社であるため、借地借家法上の関係から断られるケースもあります。

実際の家賃値上げでどれだけ物件価値が変わったかはこちらです。
👉 家賃11,000円アップで物件価値377万円アップ|入居者との賃料改定交渉を公開

家賃値上げと収益還元法の関係はこちらで詳しく解説しています。
👉 不動産投資で勝つための収益還元法|家賃1万円上げると物件価値が300万円上がる仕組み


④「家賃保証」なのに減額請求される

「家賃保証」という言葉から、家賃が永久に保証されると思う方が多いです。しかし実態は違います。

サブリース契約では通常2年ごとに家賃の見直しが行われます。サブリース会社は借地借家法上の借主として扱われるため、契約や事情によってはオーナーに対して賃料減額を求められる立場にあります。

もっとも、この減額請求は法律上、オーナー側が必ず応じなければならないものではありません。ただ実情としては、不動産会社から言われるとそのまま受け入れてしまう人がほとんどです。

つまり「家賃保証」という言葉とは裏腹に、サブリース会社の都合で家賃を下げる交渉が行われやすい構造になっているのです。

過去には「かぼちゃの馬車」問題のように、サブリース会社(スマートデイズ)が経営破綻し、オーナーへの家賃の支払いが止まってしまうという事例が社会問題になりました。この問題をきっかけに2020年に賃貸住宅管理業法が成立しましたが、借地借家法上の構造的な問題は残っています。


⑤売却時にも不利になる

サブリース契約付きの物件は売却時にも不利になりやすいです。

サブリース契約は物件を売却しても新しい買主に引き継がれます。買主にとってサブリース契約付きの物件は経営の自由度が制限されるため敬遠されやすく、売却価格が下がる傾向があります。

ただし、これは元々サブリース契約が付いた状態で購入した場合と、保有中に新しくサブリース契約を付けた場合とで、事情が少し異なります。新しくサブリース契約を付けた場合、金融機関の評価上、サブリース会社がオーナーに支払っている保証賃料(実際の入居者家賃より低いことが多い)が「家賃」とみなされることがあり、この場合は物件の評価額そのものが下がってしまう可能性があります。

出口戦略を考えた物件選びが重要な不動産投資において、売却時の選択肢を狭めるサブリース契約はマイナスに働くことが多いです。


⑥それなのに解約が困難|最悪のサイクル

ここまで読むと「それならサブリース契約を解約すればいい」と思うかもしれません。しかしこれが最も大きな問題です。

サブリース契約は転貸借契約であるため、借地借家法によってサブリース会社(借主)の権利が守られます。オーナー側からの中途解約は、一般にハードルが高く、契約内容や事情によっては容易ではありません。解約時に高額な違約金や清算金を求められるケースもあります。

一方でサブリース会社は事前に通知すれば比較的自由に解約できます。つまり「オーナーは解約しにくく、サブリース会社は解約しやすい」という非対称な構造になっています。

まとめるとこういうサイクルになります。

費用が大きい → 空室保証は多くのケースで不要 → 家賃値上げの恩恵も受けにくい → しかも減額請求される → 売却にも不利 → それなのに解約が困難

これが私がサブリース契約を使わない理由です。


実際に困っている事例

私の知人から、サブリース契約について相談を受けたことがあります。

購入後に契約内容について気になる点が出てきたため、サブリース会社に契約の見直しや解約について相談したものの、すぐに話がまとまる状況ではなかったそうです。

サブリース契約は、毎月一定の家賃収入が得られるという安心感がある一方で、契約期間や解約条件などを十分に確認しておかないと、後になって「思っていたより自由に契約を変更・終了できない」と感じるケースもあります。

今回のケースでも、私が紹介した不動産投資のセカンドオピニオンに相談し、契約書の内容や現在の状況を整理しながら、今後どのように対応するべきかについてアドバイスを受けています。

もちろん、セカンドオピニオンはトラブルの解決を保証するものではありません。最終的にどのような対応をするかは、ご本人が契約内容や状況を踏まえて判断する必要があります。

また、法的な判断や交渉が必要になる場合には、弁護士などの専門家へ相談することも重要です。

だからこそ、サブリース契約を検討する際には、「家賃が保証される」というメリットだけを見るのではなく、契約期間や解約条件、更新条件など、契約終了までの仕組みを事前に確認しておくことが大切だと思います。

物件を購入する前はもちろん、購入後に「契約について少し気になることがある」という段階でも、第三者に相談して情報を整理してみるのは一つの方法です。

不動産投資のセカンドオピニオンの詳細レビュー記事はこちら
👉 不動産投資で損しないために|買う前に相談すべきセカンドオピニオンサービス【実体験レビュー】


まとめ|サブリース契約をすすめられたら

問題点内容
費用が大きい手数料10〜15%。集金代行(月3,000円〜)と比べて4年で約48万円の差
原状回復もオーナー負担契約によって負担者が異なる。オーナー負担の契約もあれば会社負担の契約もあり、事前確認が必須
空室保証は多くのケースで不要東京23区の入居率は97%前後。保証コストの方が高くなりやすい
家賃値上げの恩恵なし増額分がオーナーに反映されない契約が多い
減額請求される「家賃保証」なのに借地借家法上減額請求が可能な構造
売却時にも不利契約が引き継がれ買い手が敬遠しやすい
解約が困難借地借家法でサブリース会社が守られる。解約時に高額な違約金が発生するケースも

不動産会社からサブリース契約をすすめられても、その場で即決する必要はありません。

まずは集金代行との比較を冷静に行うべきです。


物件購入前に契約内容についてセカンドオピニオンを取りたい方や、契約内容について第三者の目線で確認したい方は、お気軽にご相談ください。

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