借金1.7億円はインフレで本当に目減りする?|6室の実際の金利で検証

不動産投資

この記事で分かること

  • 不動産投資ローン1億7,340万円は、インフレで実質的にどれくらい目減りするのか
  • 6室の実際の借入金利から計算した「実質金利」
  • インフレ率1%・2%・2.5%・3%で借金の重さがどう変わるのか
  • 「インフレなら借金した方が得」は本当なのか
  • 政府の「債務残高対GDP比」重視への転換から見えてくる、私なりのインフレ仮説

6室購入して、借金は1億7,340万円

私はこれまで東京・川崎・大阪で6室の投資用マンションを購入してきました。

物件価格の合計は1億7,510万円ですが、実際の借入額を合計すると1億7,340万円です。

現在のローン条件を整理すると、以下のようになります。

物件借入額現在金利
東京①3,240万円2.208%
東京②4,090万円1.74%
川崎①3,390万円2.15%
川崎②2,780万円2.15%
大阪①2,070万円2.208%
大阪②1,770万円2.208%
合計1億7,340万円加重平均 約2.08%

※川崎2室は購入時1.90%でしたが、2026年6月から2.15%に上昇しています。

6室すべての購入価格・家賃・値引き額・利回りなどはこちらにまとめています。
👉 購入した6室、全データ公開|東京・川崎・大阪、値引き・値上げ・物件価値の実績まとめ

借金1億7,340万円と聞くと、かなり大きな金額に感じます。

日本は長く続いた低金利時代から金利上昇局面に入っていますが、同時に起きているのがインフレです。

「金利は上がっているけれど、インフレによってこの1.7億円という借金自体の重さも軽くなっているのではないか」

そう思ったので、実際に自分が抱えている1億7,340万円のローンと金利を使って計算してみました。

「インフレで借金が目減りする」とはどういうことか

前提として、インフレになっても銀行に返すローン残高そのものが減るわけではありません。

変わるのは、お金そのものの価値です。

物価が毎年2%上昇するとすると、現在100万円で買えるものは、10年後には約122万円出さないと買えなくなります。逆に言えば、10年後の100万円は、現在の100万円より価値が低いということです。

借金も同じ理屈で考えられます。仮に現在の1億7,340万円という金額が10年後にもそのまま残っていたとして、その実質価値を現在のお金に換算すると、

1億7,340万円 ÷ 1.02¹⁰ ≒ 約1億4,225万円

差額は約3,115万円です。2%のインフレが10年間続けば、1億7,340万円という金額の実質的な重さは、現在の購買力ベースで約3,100万円小さくなる計算になります。

ただし、これは3,100万円得をするという意味ではありません。実際にはローン返済によって残債も減りますし、利息も払っています。あくまで「同じ名目金額の価値が、インフレによってどれだけ変わるか」を示しただけの数字です。

インフレ率によって1.7億円の重さはどこまで変わる?

インフレ率によってどのくらい違うのか、同じ1億7,340万円を10年後の現在価値に割り戻してみます。

年平均インフレ率10年後の1億7,340万円の実質価値実質的な目減り
1.0%約1億5,700万円約1,640万円
1.5%約1億4,940万円約2,400万円
2.0%約1億4,225万円約3,115万円
2.5%約1億3,550万円約3,790万円
3.0%約1億2,900万円約4,440万円

※現在の借入総額1億7,340万円を固定して、インフレによる貨幣価値の変化だけを示した単純計算です。実際のローン残債は返済によって減少します。

10年という時間軸で見ると、かなり大きな差になります。

ただ、ここで当然こんな疑問が出てきます。「インフレ2%でも、ローン金利を2%くらい払っているなら結局意味がないのでは?」

ここが今回の記事で一番重要なところです。

インフレで借金は目減りする。でも金利も払っている

「インフレで1.7億円の借金が実質的に約3,100万円軽くなる」という部分だけ見ると、借金は多いほど得なようにも見えます。ただ当然、借金には金利がかかっています。

私の6室の現在の借入金利を借入額で加重平均すると、約2.08%です。

ここで出てくるのが実質金利という考え方です。単純化すると、

実質金利 ≒ 名目金利 − インフレ率

私の平均借入金利2.08%で計算すると、こうなります。

インフレ率平均借入金利実質金利の概算
1.0%2.08%+1.08%
1.5%2.08%+0.58%
2.0%2.08%+0.08%
2.5%2.08%▲0.42%
3.0%2.08%▲0.92%

※実質金利を直感的に理解するための概算です。厳密にはフィッシャー方程式で計算します。

この数字を見ると、印象がだいぶ変わります。インフレ率2%なら、私の平均借入金利2.08%とほぼ同じ。実質的な資金調達コストはほぼゼロです。インフレ率が2.5%なら実質金利はマイナス約0.42%、3%ならマイナス約0.92%まで沈みます。逆にインフレ率が1%まで下がれば、実質金利は約1.08%まで上がります。

「金利が上がったから借金は不利」とも、「インフレだから借金は得」とも、一概には言えません。重要なのは、借入金利とインフレ率の差です。

政府の「対GDP比」重視は、インフレを前提にしている

ここで少し視点を広げてみます。2026年の「骨太の方針」では、政府は財政運営の中核目標として、国・地方の総債務残高対GDP比を安定的に低下させることを掲げています。プライマリーバランスについては、そのための確認指標として複数年で管理するという位置づけです。

政府は「借金が何兆円あるか」という絶対額ではなく、政府債務÷GDPという比率で、経済規模に対して借金がどれだけ重いかを見ているわけです。

ここで気になるのが、このGDPという分母の中身です。GDPは実質成長率と物価上昇率(インフレ率)を合わせた名目値で決まります。実質成長率を短期間で大きく引き上げるのは簡単ではないので、比率(債務÷GDP)を下げようと思えば、分母のGDPを名目ベースで押し上げる必要があり、そこにはインフレ率がかなり効いてきます。

つまり政府が「対GDP比」を重視する方針に転換したこと自体、ある程度のインフレを前提にした運営に見える、というのが私の仮説です。もちろんこれは私の推測であって、政府がインフレを誘導していると言いたいわけではありません。債務残高対GDP比には実質成長率や金利、財政収支など様々な要因が関わっていて、政府自身もそれらを多角的に分析するとしています。

ただ、もしこの見方が当たっているなら、この記事でここまで使ってきた「インフレ率2%」という前提は、むしろ控えめなシナリオかもしれません。

1.7億円という借金だけを見ても、不動産投資の実態は分からない

私の場合、借入額は1億7,340万円あります。数字だけ見ればかなり大きな借金です。

ただ、その借金によって6室の不動産を保有していて、そこから毎月家賃が入ってきます。しかも家賃そのものも固定ではありません。

私はこれまで6室のうち3室で、東京①は+11,000円/月、川崎②は+3,000円/月、大阪①は+16,500円/月の家賃値上げを実現しました。合計すると+30,500円/月、年間では+36万6,000円です。

借金の名目額は契約時に決まりますが、その借金で買った不動産から得られる家賃は上昇する可能性がある。ここが、不動産投資と単なる消費のための借金との違いだと思っています。

インフレ下では「借金は固定、家賃は変動」が効いてくる

不動産投資におけるインフレの面白いところはここです。

物価が10年間で20%以上上昇しても、10年前に借りた3,000万円が物価に合わせて3,600万円に増えるわけではありません。借金はあくまで名目額で返済していきます。一方で家賃や給与、物件価格は、インフレによって名目額が上昇する可能性があります。

理想的には、借金の実質価値が下がる一方で、家賃と物件価値が上がっていく状態になります。この状態になれば、借金の絶対額が大きくても、資産や収入に対する相対的な重さは徐々に小さくなっていきます。

ただし「インフレ=不動産投資に有利」ではない

ここまで読むと、インフレの時代は借金して不動産を買った方が得なのでは、と思うかもしれません。ただ、そこまで単純ではありません。

インフレで上がるのは家賃や物件価格だけではないからです。借入金利、管理費、修繕積立金、修繕費、設備交換費、人件費なども上がる可能性があります。特に重要なのが金利です。仮にインフレ率が2%でも、借入金利が4%まで上がれば実質金利は約2%になりますし、逆にインフレ率3%に対して借入金利が2%程度にとどまれば実質金利はマイナスになります。

だから「インフレ率>金利なら不動産投資は勝ち」という単純な見方もしていません。最終的には、インフレ率・借入金利・家賃・物件価格・保有コストをセットで見る必要があると考えています。

私の1.7億円の借金は、現時点ではどう見るか

現在の6室の加重平均金利は約2.08%です。インフレ率が2%程度で推移するなら、実質金利は約+0.08%、ほぼゼロです。

この数字だけ見れば、私は「1.7億円借りているからインフレで大儲けしている」わけではありません。ただし、これはあくまで2%というやや控えめな前提での話です。さきほど触れた通り、政府の財政運営を見ていると、私自身は今後インフレ率がこの水準を上回っていく可能性もあると考えています。もしそうなれば、実質金利はゼロどころかマイナス方向に傾いていくことになります。

そして不動産の場合、ここで終わりません。すでに3室で合計月30,500円の家賃値上げを実現していて、家賃が上がれば毎月の収入が増えるだけでなく、収益還元法で評価される投資用不動産では物件価値にもプラスに働く可能性があります。逆に今後、金利や管理費・修繕積立金が大きく上がれば、そのメリットは削られます。

だから私が見ているのは、「借金をいくら減らしたか」だけではなく、「借金の実質的な重さに対して、家賃と物件価値をどれだけ伸ばせているか」です。

収益還元法についてはこちら
👉不動産投資で勝つための収益還元法|家賃1万円上げると物件価値が300万円上がる仕組み

まとめ|1.7億円の借金は「額」ではなく「実質的な重さ」で見る

今回、実際に保有する6室の借入額と金利を使って、インフレによって借金の実質的な重さがどう変わるのかを考えてみました。

現在の借入総額は1億7,340万円、加重平均した借入金利は約2.08%です。仮に2%のインフレが10年間続けば、この名目金額の実質価値は現在価値で約1億4,225万円相当になります。ただし、だから約3,100万円得をするわけではありません。金利まで考えれば、インフレ率2%に対して平均借入金利約2.08%なので、実質金利はほぼゼロです。

一方で、不動産投資では借金だけでなく、その借金で取得した資産から家賃が入ってきます。実際に私はすでに3室で合計月30,500円、年間36万6,000円の家賃値上げを実現しました。政府の財政運営の方向性を見ていると、私自身はこの先のインフレ率が2%を上回っていく可能性もあると見ています。そうなれば、実質金利はさらにマイナスに向かうことになります。

だから私にとって重要なのは、「1.7億円も借金がある」という絶対額ではありません。その1.7億円を何%の実質金利で借り、その資金で取得した資産からどれだけ家賃を得て、最終的にいくらで売却できるのか。ここまで見て初めて、借金が有利なのか不利なのかを判断できると思っています。

金利上昇は不動産投資にとって間違いなく逆風です。ただ、インフレが続く世界では、借金の名目額だけを見て怖がるのも違います。借金の「額」だけではなく、実質的な重さを見ること。これが、インフレ・金利上昇局面で不動産投資を考える上で重要な視点だと考えています。

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