この記事で分かること
- 不動産投資ローンの団信(団体信用生命保険)とは何か
- 私が6室・借入総額1億7,340万円で選んだ団信
- なぜ6室すべて「金利上乗せなし」の団信を選んだのか
- 金利+0.1%・+0.2%・+0.3%が1.7億円の借入ではどれくらいの負担になるのか
- 私が考える「保険を付けるべきリスク・自分で負担すべきリスク」の境界線
私はこれまで東京・川崎・大阪で6室の投資用マンションを購入し、借入総額は1億7,340万円になりました。
不動産投資ローンを組むとき、金利や融資期間と並んで選択することになるのが団体信用生命保険(団信)です。
死亡時だけを保障するものから、がんや生活習慣病までカバーするものまで、銀行によってさまざまなプランがあります。
保障が手厚い方が安心なのは間違いありません。ただし保障を手厚くする代わりに、金利が+0.1%、+0.2%、+0.3%と上乗せされる商品もあります。
私は6室すべてで、団信による金利上乗せのないプランを選びました。借入額が1.7億円を超えているからこそ、私は「保障は手厚ければ手厚いほどいい」とは考えていません。
今回は、実際に私が加入している団信を紹介しながら、なぜこの選択をしたのかを書いてみます。
6室すべての借入額・金利の内訳、インフレによる実質的な重さについてはこちらで詳しく計算しています。
👉 借金1.7億円はインフレで本当に目減りする?|6室の実際の金利で検証
そもそも団信とは?
団信(団体信用生命保険)は、住宅ローンや不動産投資ローンの返済中に、契約者に死亡・高度障害など所定の事由が発生した場合、保険金によってローン残高が弁済される仕組みです。
一般的な生命保険との大きな違いは、保険金を受け取って生活費などに使うものではなく、ローン残高の返済に充てられることです。
例えば、3,000万円のローンが残っている状態で団信の保障対象となった場合、所定の条件を満たせばその3,000万円の債務が弁済されます。一方、不動産そのものがなくなるわけではありません。
そのため団信には「借金がなくなり、不動産が残る」という特徴があります。これは一般的な生命保険とは少し違う、団信ならではの大きなメリットだと思います。
私が6室で選んだ団信
私が保有している6室では複数の銀行から融資を受けています。団信については、すべて金利上乗せなしのプランを選びました。
実際に選択した内容を整理すると、現時点で把握している範囲では以下のようになります。
| 銀行 | 私が選んだ団信 | 金利上乗せ |
|---|---|---|
| 楽天銀行 | がん50%保障付き団信 | なし |
| auじぶん銀行 | がん50%保障付き団信 | なし |
| 東京スター銀行 | ワイド団信 | なし |
※上記は私が契約時に実際に選択した内容です。団信の商品内容・加入条件・上乗せ金利等は契約時期や商品によって変更される可能性があるため、現在の条件については各金融機関で確認してください。
6室それぞれの物件価格・値引き額・利回りなどの全データはこちらにまとめています。
👉 購入した6室、全データ公開|東京・川崎・大阪、値引き・値上げ・物件価値の実績まとめ
ここで面白いと思ったのが、「一番コストの低い団信を選ぶ=死亡保障しか付かない」というわけではなかったことです。
楽天銀行とauじぶん銀行では、私が選んだ金利上乗せなしのプランでも、がん50%保障が付いていました。私は疾病保障を積極的に追加したわけではありません。追加金利を払わずに付いてくる保障を選んだ結果、がん50%保障も付いていたという形です。
なぜ私は団信を手厚くしなかったのか
理由は、私自身の保険に対する考え方にあります。
私は、保険は「起きたら困ることすべて」に備えるものではなく、「起きたら自分では負担できないこと」に備えるものだと考えています。
保険の本質は、少額の保険料で、自分では到底負担できない大きなリスクにレバレッジをかけることだと思っています。少ない負担で、身の丈を超えた損失をカバーする。これが保険の一番合理的な使い方です。逆に言えば、自分の資産で十分に吸収できる規模のリスクにまで保険を掛けるのは、レバレッジではなく、ただのコストです。
もう一つ意識しているのが、保険は統計的に計算された商品だということです。保険会社は、長期的に見て自分たちが損をしないように保険料(団信でいえば上乗せ金利)を設計しています。つまり「入っておけば得」という設計には基本的になっていません。だからこそ、保険を使うべきなのは、自分では負担できないほど大きなリスクに限られる、というのが私の考え方です。
病気になる可能性はあります。入院する可能性もあります。働けなくなる可能性もゼロではありません。しかし、「可能性がある」という理由だけですべてを保険でカバーしようとすれば、保険料はどんどん高くなります。
重要なのは、その出来事が起きたとき、自分の資産で吸収できるのかです。自分の現金や金融資産で十分対応できる損失なら、必ずしも保険会社にお金を払ってリスクを移転する必要はありません。逆に、発生確率は低くても、一度起きたら自分では到底負担できない損失については、保険を使う意味があります。
もう一つ意識しているのが、「保障の使い道が狭いほど、実際に支払われる場面は限られる」ということです。団信も同じで、がん保障・生活習慣病保障といった上位プランは、あくまで所定の病気・所定の条件を満たしたときにしか弁済されません。病気やケガで一時的に働けなくなった、家族の介護で出費が増えた、といった団信の対象外の事態には対応できません。
その意味で、団信の保障を厚くするより、現金・金融資産を厚くしておく方が、対応できる事態の幅は広いと考えています。団信は特定の事由(死亡・高度障害、あるいは所定のがん・疾病)にしか使えませんが、現金であれば団信ではカバーできない場面にもそのまま使えます。
不動産投資なら、なおさら資金余力が先だと思う
これは不動産投資では特に重要だと思っています。
「病気で数か月働けなくなったらローンを払えないから、疾病保障を手厚くしておこう」という考え方もあります。ただ、私は少し違います。
病気などで一時的に収入が減っただけでローン返済が困難になるほど資金余力がないのであれば、団信を手厚くする以前に、その借入額で不動産投資をすること自体を考え直した方がいいと思っています。
不動産投資では、病気以外にもさまざまなことが起こります。空室になることもあれば、設備が壊れることもあります。管理費や修繕積立金が上がる可能性もありますし、今回私が経験したように借入金利が上昇することもあります。
そうした変動に耐えられるだけの資金余力を持ったうえで投資する。そのうえで、自分では吸収できないリスクだけを保険でカバーする。私はこの順番で考えています。
実際に金利が上昇した際の影響については、こちらで詳しく試算しています。
👉 金利0.25%上昇で年15万円負担増|不動産投資への影響と対策
「金利+0.2%くらい」でも、1.7億円では小さくない
もう一つ、団信を手厚くしなかった理由がコストです。
団信の説明を見ると「金利+0.1%」「金利+0.2%」と書かれていることがあります。0.2%だけを見ると、大した金額ではないようにも感じます。しかし、私の借入総額1億7,340万円に当てはめてみます。
| 金利上乗せ | 1億7,340万円に対する年間コストの目安 |
|---|---|
| +0.1% | 約17.3万円 |
| +0.2% | 約34.7万円 |
| +0.3% | 約52.0万円 |
※借入総額1億7,340万円が変わらないと仮定して「借入額×上乗せ金利」で計算した単純比較です。実際にはローン返済によって残債が減るため、追加利息も減少します。また、実際の団信の上乗せ金利は金融機関・商品によって異なります。
+0.2%なら、初年度残高ベースで年間約35万円相当です。1年だけならまだしも、不動産投資ローンは数十年単位の借入です。
もちろん、約35万円払えば必ず損をするという意味ではありません。実際に保障対象となれば、それ以上に大きな経済的メリットを受ける可能性があります。ただ、「たった0.2%だから、とりあえず保障を手厚くしておこう」とは考えないようにしています。借入額が大きくなればなるほど、0.1%の意味も大きくなるからです。
保険は「得するため」に入るものではない
そもそも私は、保険で得をしようとは考えていません。何も起きなければ、追加で支払った保険料や金利は戻ってこないのが基本です。
だから、「この保障に入れば得なのか」ではなく、「このリスクは、自分で負担できるのか」で考えます。自分で負担できるなら、自分で負担する。自分では到底負担できないなら、そのリスクを保険会社に移転する。そのために支払うコストが合理的かを見る。団信も同じだと思っています。
ただし、団信は普通の保険とは少し違う
実は、団信のベースとなる死亡・高度障害保障そのものは、保険としてかなり合理的な部類に入ると思っています。保険料の追加負担はほぼゼロで、自分では到底負担できない事態、つまり自分が亡くなることに対して、家族に「借金のない不動産」という資産を残せる。これはまさに、少ない負担で大きなリスクにレバレッジをかけるという、保険本来の使い方です。
私が手厚くしなかったのは、あくまでこの先の「上乗せ部分」です。がんや生活習慣病といった保障は、確かに安心材料にはなりますが、追加の金利という形でコストが発生します。ベースの保障がすでに「扶養家族に不動産を残す」という一番大きなレバレッジ効果を果たしている以上、その先の上乗せについては、コストに見合うかを別途判断する、というのが私の考え方です。
なぜなら、団信の保障対象となればローンが弁済される一方で、不動産という資産は残るからです。仮に3,000万円の残債がある投資用マンションで団信が適用されれば、3,000万円の債務がなくなり、無借金となった不動産が残り、入居者がいる限り毎月の家賃収入が入ってくることになります。
その意味では、団信は単なる「治療費への備え」ではありません。特に扶養家族がいる場合などは、万が一の際に借金のない収益不動産を残せること自体に大きな意味があると思います。だから私は、団信そのものが不要だと言いたいわけではありません。問題は「どこまで保障を追加するか」です。
無料で付く保障なら話は別
そして、ここが私の実際の選択につながります。
私は追加金利を払って保障を増やすことには慎重ですが、金利上乗せなしで付いてくる保障を断る理由もありません。実際、楽天銀行とauじぶん銀行では、私が選択した金利上乗せなしの団信でもがん50%保障が付いていました。
つまり私の考え方は、「団信は最低限でいい」というより、「追加コストなしで得られる保障は利用し、それ以上の保障については追加コストに見合うかを判断する」に近いです。そして6室について判断した結果、すべて金利上乗せなしのプランになりました。
最安プランでも銀行によって保障が違った
実際に複数の銀行から借りてみて興味深かったのは、同じ「金利上乗せなし」であっても団信の内容が同じではなかったことです。
楽天銀行とauじぶん銀行では、金利上乗せなしでもがん50%保障が付いていました。一方、東京スター銀行では私はワイド団信を選択しています。
つまり、「団信を手厚くするかどうか」だけではなく、「そもそも金利上乗せなしで何が付いてくる銀行なのか」も融資条件の一部として考えられます。
不動産投資ローンを比較するときはどうしても、借入金利・融資期間・融資額に目が行きます。しかし同じ金利でも、無料で付いてくる団信の保障内容が違えば、実質的な条件には差があります。これは6室購入してみて、改めて感じたポイントです。
私なら団信をどう選ぶか
今後また不動産を購入するとしても、基本的な考え方は変わらないと思います。
まず、金利上乗せなしで付く団信の保障内容を確認します。そのうえで上位団信について、「追加で何が保障されるのか」「そのために金利が何%上がるのか」「借入額に換算すると年間いくらなのか」を計算します。
そして最後に、「そのリスクは、自分の金融資産で吸収できないものなのか」を考えます。
例えば+0.2%なら、3,000万円の借入では残高ベースで年間約6万円です。これを高いと考えるか安いと考えるかは、保障内容や家族構成、資産額などによって変わります。だから「上位団信は不要」と一律に言うつもりはありません。ただ、私は「安心だから」という理由だけで上位プランを選ぶことはしないと思います。
まとめ|保障の大きさではなく「何のリスクを、いくらで移転するか」
私は6室の投資用マンションを購入し、借入総額は1億7,340万円になりました。それだけの借入がありますが、団信については6室すべて金利上乗せなしのプランを選んでいます。
これは保障を軽視しているからではありません。私にとって保険とは、「起きたら困ることすべて」に備えるものではなく、「起きたら自分では負担できないこと」に少ないコストでレバレッジをかけるものだからです。使途が限定された保障より、汎用性の高い現金・金融資産の方が、対応できる場面は広いとも考えています。
不動産投資についても、病気や一時的な収入減でローン返済が難しくなるほど資金余力がないのであれば、まず考えるべきなのは団信の保障を増やすことではなく、その投資自体のリスクだと思っています。
そのうえで、自分では吸収できないリスクを保険に移転する。そして、そのために支払う追加コストが合理的なのかを考える。私の場合、その判断を6室で繰り返した結果、すべて金利上乗せなしの団信になりました。
一方で、楽天銀行やauじぶん銀行のように、金利上乗せなしでもがん50%保障が付くのであれば、その保障は利用します。
「どこまで保障を付ければ安心か」ではなく、「自分では負担できないリスクは何か。そのリスクを移転するために、いくら払う価値があるか」。団信についても、この考え方で選ぶのが自分には合っています。
このシリーズの他の記事はこちらです。
👉 金利0.25%上昇で年15万円負担増|不動産投資への影響と対策
👉 不動産投資ローンの金利が3.5%になったら?|2.15%・2.5%・3.0%・3.5%で検証
👉 家賃をいくら上げれば金利上昇に勝てる?|金利2.5%・3.0%・3.5%を家賃換算で逆算
👉 借金1.7億円はインフレで本当に目減りする?|6室の実際の金利で検証
ご相談がある方は、お問い合わせページからご連絡ください。

