この記事で分かること
- なぜ私が6室すべて頭金を最低限の10万円にしているのか
- 借入金利より運用リターンが高いなら、自分のお金を寝かせない方がいい理由
- 頭金を入れることで失う「流動性」という価値
- 頭金を入れた方がいいケースもフェアに整理
私は6室すべて、頭金を最低限の10万円だけ入れて、残りはフルローン・35年ローンで組んでいます。
「借金は少ない方が安心」という感覚は分かりますが、私はできるだけ借金を減らしたいのではなく、自分の純資産をできるだけ効率よく増やしたいと考えています。今回は、なぜ頭金をほとんど入れないのか、その理由を整理してみます。
6室すべての借入額・金利の内訳はこちらにまとめています。
👉 借金1.7億円はインフレで本当に目減りする?|6室の実際の金利で検証
理由①:約2%で借りられるなら、自分のお金を先に返済へ回さない
私が組んでいる不動産投資ローンの金利は、おおむね2%前後です。一方、オルカン(全世界株式)のベンチマークであるMSCI ACWI(配当込み)の直近15年間の平均年率リターンは、おおよそ7〜8%程度とされています(もちろん、将来のリターンを保証するものではなく、あくまで過去の実績です)。
例えば、手元に100万円あるとします。
- 頭金として100万円多く入れた場合:
借入元本が100万円減り、その分にかかる約2%の利息負担がなくなる - 頭金を最低限にして、残りの100万円をこうした指数に連動する形で運用に回した場合:
過去の実績ベースでは、より高いリターンが期待できる
借入コストより期待リターンの方が高いなら、自分のお金を先に借入元本を減らすことに使うより、運用に回した方が合理的、という考え方です。
頭金10万円で不動産投資がどれくらいのリターンになるかは、こちらで詳しくシミュレーションしています。
👉 頭金10万円でどのくらい儲かる?|不動産投資のリターンをシミュレーション
理由②:頭金に入れたお金は流動性を失う
100万円を頭金として入れてしまうと、その100万円は物件の中に埋め込まれ、簡単には取り戻せません。
一方、100万円を金融資産や現金として持っていれば、
- 株式・インデックス投資に回す
- 次の不動産の購入資金にする
- 空室・設備故障・金利上昇時のバッファーにする
- 相場急落時に追加投資する
といった選択肢が残ります。頭金を入れないメリットは、単純に「株の期待利回り>ローン金利」というだけではなく、低利で借りられる資金は最大限使い、自分の現金には自由度を残しておく、という発想の方が本質的だと思っています。
理由③:次の物件を買うための資金を残せる
これは私が6室まで増やせた理由に直結しています。
仮に1室ごとに300万円の頭金を入れていたら、6室で1,800万円です。もしそうしていたら、途中で資金が尽きて、6室まで買い増すことはできなかったはずです。
頭金を最低限にすることで、この資金を温存でき、次の物件を買う余力を残せます。頭金を入れないのは、1室の利回りだけを最大化するためではなく、保有資産全体の資本効率を上げるためだと考えています。
実際に6室まで買い増した経緯や物件ごとの購入判断はこちらにまとめています。
👉 購入した6室、全データ公開|東京・川崎・大阪、値引き・値上げ・物件価値の実績まとめ
理由④:借入金利は経費にできるが、自己資金にはその恩恵がない
不動産所得の計算上、借入金利は経費として家賃収入から差し引くことができます。一方、頭金として入れた自己資金には、この恩恵がありません。
つまりフルローンにすることは、「経費化できる資金調達コストで物件を持つ」という意味でも合理的だと考えています。
不動産投資の節税の仕組みについてはこちらで詳しく解説しています。
👉 不動産投資で節税できる5つの経費|減価償却・諸費用・雑費・家賃・通信費まで
理由⑤:インフレ下では、固定された借金の実質価値が低下する可能性がある
借金の名目額は契約時に固定されますが、インフレが進めば、その実質的な重さは軽くなっていく可能性があります。この点については、以前の記事で詳しく計算しました。
👉 借金1.7億円はインフレで本当に目減りする?|6室の実際の金利で検証
理由⑥:頭金を厚くしすぎると、次の融資審査でかえって不利になることもある
意外と語られていない点ですが、頭金として現金を使い切ってしまうと、手元の預金残高が減ります。銀行は次の物件への融資審査で、申込者の預金残高、つまり返済の余力があるかどうかも見ることが多いです。
頭金を厚くしすぎることが、かえって次の物件の融資枠を狭めてしまう可能性があります。
同じ発想は、税還付にも当てはまる
今手元に戻ってきた現金を寝かせるのではなく、再投資することで時間価値を活かせる、という考え方は、不動産投資の税還付についても同じです。この点は、また別の記事で詳しく書きたいと思っています。
では、頭金を入れた方がいいのはどんな人か
ここまで頭金を入れない理由を書いてきましたが、一律に「頭金ゼロが正解」だとは思っていません。運用リターンは確定ではない一方、頭金を入れて減る利息はほぼ確定的なものです。
以下のようなケースでは、頭金を入れる合理性もあると思います。
- 借入金利がかなり高い場合(4〜5%以上など、借入コストが期待リターンを上回りうる水準)
- 相場の値動きに精神的に耐えられない人
- LTV(融資額÷物件価格)が高すぎて審査に通らない、または金利条件が悪化する場合
まとめ|重要なのは借金を減らすことではなく、自己資金を最も効率よく使うこと
6室すべて頭金は最低限の10万円、フルローンで組んでいます。
理由は、
- 約2%の借入金利より高いリターンが期待できるなら自分のお金を先に返済に回さないこと
- 頭金にすると流動性を失うこと
- 次の物件のための資金を残せること
- 借入金利は経費にできること
- インフレ下では借金の実質価値が下がる可能性があること
- 頭金を厚くしすぎるとかえって次の融資に不利になる
ことです。
私は借金をできるだけ減らしたいのではなく、自分の純資産をできるだけ効率よく増やしたいと考えています。頭金についても、この考え方で判断しています。
このシリーズの他の記事はこちらです。
👉 金利0.25%上昇で年15万円負担増|不動産投資への影響と対策
👉 借金1.7億円はインフレで本当に目減りする?|6室の実際の金利で検証
👉 不動産投資ローンの団信は必要?|借入1.7億円でも金利上乗せなしを選んだ理由
頭金や融資の組み方について相談したい方は、お気軽にご相談ください。

