投資用マンションは5年で売るべき?|6室保有して考えた「本当の売り時」

不動産投資

この記事で分かること

  • なぜ「5年」を一つの目安にしているのか、税金の観点から
  • 家賃を上げてローン残債を減らす、私の基本戦略
  • 家賃が上がるほど「売る理由」がなくなる、という矛盾
  • 「今売る」と「持ち続ける」をどう比較するか
  • なぜ「5年超+退去+新賃料で入居付け」が、理想的な出口になり得るのか

「5年で売る」のではなく、「5年で売れる状態」を作る

6室を10年、20年と持ち続けること自体を目的にしているわけではありません。

6室すべての現在の家賃・物件価値の実績はこちらにまとめています。
👉 購入した6室、全データ公開|東京・川崎・大阪、値引き・値上げ・物件価値の実績まとめ


私の基本戦略はこうです。

  • 市場より家賃が安い物件を買う
  • 保有期間中に家賃を引き上げる
  • 同時にローン返済で残債を減らす
  • 5年を超えたあたりで、退去のタイミングを使って市場賃料まで一気にリセットする
  • 新しい賃料で入居を決めた上で、売却するか保有を続けるか判断する

「5年経ったら必ず売る」という意味ではありません。正確には、「5年後までに売れる状態を作り、その時点で売却と保有継続の有利な方を選ぶ」という戦略です。

実際、東京の物件では家賃を11,000円、大阪の物件では16,500円値上げできています。

👉 家賃11,000円アップで物件価値377万円アップ|入居者との賃料改定交渉を公開
👉 家賃16,500円アップで物件価値535万円アップ|入居者との賃料改定交渉から入居募集まで公開

なぜ一つの目安を「5年」にしているのか

不動産の売却益には、所有期間によって税率が大きく変わるという仕組みがあります。

「購入から丸5年」ではなく、売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えているかで、短期譲渡・長期譲渡の判定が決まります。税率は、住民税を含めて短期譲渡所得が概ね39.63%、長期譲渡所得が概ね20.315%です。

この差はかなり大きいので、5年というのは「必ず売る時期」ではなく、税率差の観点から、本格的に出口を検討し始める一つのタイミングだと捉えています。

5年間でやることは「家賃を上げる」と「残債を減らす」

家賃を上げる

例えば家賃10万円の物件を11万円まで引き上げられたとします。年間家賃は+12万円です。

還元利回り4%なら、理論上の収益還元価値へのインパクトは、

12万円 ÷ 4% = 300万円となります。

収益還元法についてはこちらで解説しています。
👉 不動産投資で勝つための収益還元法|家賃1万円上げると物件価値が300万円上がる仕組み

残債を減らす

一方、5年間ローンを返済すれば、その分残債も減っていきます。

つまり出口では、売却価格↑ + 残債↓ という両面から、手残りを増やせるということです。この考え方は、以前の書いた以下の記事でも解説しています。

👉 毎月赤字でもワンルームを6室買った理由|持ち出し48万円で残債329万円減

ところが、家賃を上げるほど「売る理由」がなくなってくる

ここが、不動産投資の面白く、難しいところだと思っています。

当初は「家賃を上げる→価値を上げる→売却する」というつもりでした。ところが実際に家賃を上げると、当然CFも改善します。

仮に5年後、

  • 月CF:+10,000円
  • 年間元本返済:+50万円
  • 家賃の上昇余地もまだ残っている

という状態になったとします。すると、「この物件、本当に売る必要があるのか?」という疑問が出てきます。毎月お金が入ってきて、残債も減り続けていて、家賃も上げられる余地がある物件を、5年経ったからという理由だけで手放す必要はあるのか、ということです。

「今売る」と「持ち続ける」をどう比較するか

ここで、判断のフレームを整理します。

売る場合

売却価格 − ローン残債 − 売却費用 − 税金 = 売却時の手取り

持つ場合

年間CF + 年間元本返済 + 将来の家賃上昇によるCFの変化 + 将来の家賃上昇による物件価格の変化

重要なのは、「今500万円儲かるから売る」というだけでは判断できないことです。保有を続ければ、CFを受け取りながらローン残債も減っていきます。一方、今売れば手元に資金が戻り、それを別の投資に回せます。

つまり比較すべきなのは、「今売却して回収した資金から得られる将来リターン」と「保有を続けた場合に得られるCF・元本返済・将来の売却価値」です。500万円という数字だけを見て判断するのではなく、その資金を売却後にどう活かせるかまで含めて考える必要があります。

それでも長く持つことにはリスクがある

ここは反対側もフェアに書いておきます。私が現時点で特に意識している保有継続リスクは、次のようなものです。

  • 要求利回りの上昇による売却価格の下落
  • 金利上昇(変動金利なら返済負担が増える)
  • 管理費・修繕積立金の上昇
  • 専有部の設備故障・交換コスト
  • 空室・家賃下落リスク
  • 建物・エリアの競争力低下
  • 地震・水害などの自然災害

特に重要なのが、要求利回りの変化です。家賃が変わらなくても、市場の期待利回りが変われば、理論上の売却価格は大きく変わります。

家賃11万円(年間132万円)を例にすると、

還元利回り単純な収益還元価格
3.5%3,771万円
4.0%3,300万円
4.5%2,933万円
5.0%2,640万円

家賃そのものが変わらなくても、利回りが4%から5%に変われば、理論価格は600万円以上動きます。「家賃さえ上がり続ければ、持っていれば絶対に得」というわけではないということです。

金利上昇局面での考え方についてはこちらで詳しく扱っています。
👉 金利が上がっている今、ワンルーム投資はもう遅い?|6室保有している私の結論
👉 家賃をいくら上げれば金利上昇に勝てる?|金利2.5%・3.0%・3.5%を家賃換算で逆算
👉 金利0.25%上昇で年15万円負担増|不動産投資への影響と対策

逆に、リスク以上に家賃を上げられるならどうなるか

例えば、管理費+2,000円、修繕積立金+3,000円、金利上昇による返済+3,000円という向かい風があったとしても、家賃を+15,000円まで引き上げられれば、CFはむしろ改善します。しかも元本返済も続きます。

ただし、金利上昇は自分の返済額だけでなく、市場の要求利回りや買い手の融資環境を通じて売却価格にも影響する可能性があるため、家賃上昇だけで完全に相殺できるとは限りません。

それでも、保有に伴うリスクをある程度吸収しながら純資産を増やし続けられる状態であれば、「5年経ったから」という理由だけで売る合理性は、かなり弱くなります。

5年を超えた後の「退去」が、実は一番の売り時かもしれない

ここが、今回改めて気づいた視点です。

更新時の家賃交渉には、どうしても限界があります。市場家賃が11万円でも、既存入居者との調整の中では、10万円→10.5万円くらいで着地することも珍しくありません。

一方、退去が発生して新規募集をかける場合、既存契約の更新交渉ではなくなるので、市場家賃に近い水準(10万円→11万円)で募集をかけることができます。必要であれば、礼金を取らない、AD(広告料)を1〜2ヶ月分つけるといった条件調整をしてでも、その家賃で決めにいく価値があります。

仮に旧家賃10万円から新家賃11万円になれば、年間家賃は+12万円です。還元利回り4%なら、理論上の収益還元価値へのインパクトは300万円。仮にそのためにAD2ヶ月分(22万円)を払ったとしても、規模がまったく違います。

ここで重要なのは、「空室のまま売る」のではなく、「新賃料で入居付けしてから売る」ということです。想定家賃ではなく、実際にその家賃で入居が決まった物件として査定を受けることで、売却価格の説得力が変わります。

流れとしては、

退去 → 市場賃料を確認 → これまでより高い賃料で募集(必要ならAD・礼金・フリーレント等で調整) → 新しい賃料で入居が決まる → 新賃料をベースに査定を取る → 売却するか、保有を続けるか判断する

という形です。

これは、以前の記事で書いた「退去は必ずしも損ではない」という考え方の延長線上にあります。
👉 「退去されたら損」は本当か|家賃値上げの損益分岐点を計算してみた


普通、退去は「空室になるから困る」というマイナスの出来事として捉えられます。ただ、相場より家賃が安い物件にとっては、退去は「家賃を市場水準までリセットできる、もしくは新たな家賃相場を形成できるイベント」でもあります。さらに一歩進めると、「出口を作るイベント」という、もう一段上の意味も持たせられるということです。

ただし、注意したい点もあります。「家賃を無理に上げれば、その分高く売れる」わけではありません。買い手側も、その賃料に再現性があるのかを見ます。相場10万円の物件に大量のADをつけて12万円で1件だけ無理やり成約させても、それを恒久的な収益力として評価してもらえるとは限りません。狙うべきは「無理な高値賃料」ではなく、「これまでのアンダーレント(相場より安い状態)を、本来の市場賃料まで戻す」ことです。

高い家賃で入居が付いたら、「売る」と「持つ」のどちらが得か

新しい家賃で入居が決まった後も、判断は同じフレームです。

売却手取り(売却価格−残債−売却費用−税金)と、保有継続によるリターン(年間CF+年間元本返済+将来の家賃上昇余地+将来の価格変化)を比較します。

さらにもう一段、大事な視点があります。売却して手元に残った資金を、次にどこへ振り向けるかです。

  • 現金のまま置いておくなら、保有継続の方が良いかもしれません
  • 株式などに投資するなら、その期待リターンとの比較になります
  • 別の不動産の頭金にするなら、今の物件より高い期待リターンが見込めるかどうかで判断します

売却価格そのものではなく、回収した自己資本を、次にどこへ振り向けるかまで含めて判断する。これが、いわゆる資本効率(ROE)的な考え方です。

私の6室の現在地

現時点での6室を、同じ判断軸で整理するとこうなります。

物件現在の家賃状況月次CF家賃上昇余地現時点の考え
東京①+11,000円改定済み約−2,700円保有継続
東京②約−18,050円保有継続
川崎①約−10,900円保有継続
川崎②約−7,310円保有継続
大阪①+16,500円改定済み約+6,950円保有継続
大阪②約−8,350円保有継続

現時点では購入からまだ5年を超えていないため、基本的には売却を急いでいません。ただし今後5年を超えた物件から、退去が発生したタイミングで市場賃料へのリセット、新賃料での入居付け、査定取得までを一連の出口戦略として実行してみたいと考えています。

今すぐ6室すべてについて結論を出す必要はないと思っています。むしろ今後、査定価格や残債を定期的に更新しながら、この記事自体を、6室の出口戦略を追跡していくページに育てていきたいと考えています。

まとめ|「5年後に売る」ではなく「5年後に選べる状態を作る」

購入時点では、家賃を上げる→残債を減らす→価値を上げる→5年を超えたあたりで売却する、という出口を想定しています。

ただ、5年後に、CFがプラスで、残債も順調に減っていて、家賃の上昇余地もまだあり、価格も維持・上昇しているなら、その優良資産を手放す理由はないかもしれません。

逆に、家賃の上昇余地がなくなった、管理費・修繕費が上がってきた、要求利回りの上昇が懸念される、もっと魅力的な投資先が見つかった、という状況なら、そのタイミングで売却を検討します。

そして、5年を超えた後に入居者の退去が発生したなら、それは「市場水準まで家賃を引き上げ、新しい賃料で入居を決めた上で売却を検討できる」、一つの理想的なタイミングになり得ると考えています。

私にとって5年は、売却する年ではありません。「売る・持つを自由に選べる状態」を作るための、最初の目標地点です

毎月の収支をどう捉えるか、退去をどう活かすかについては、こちらもあわせてご覧ください。
👉 毎月赤字でもワンルームを6室買った理由|持ち出し48万円で残債329万円減
👉 「退去されたら損」は本当か|家賃値上げの損益分岐点を計算してみた


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