不動産営業マンの「おすすめ物件」をそのまま買ってはいけない理由|6室購入して分かる情報格差

不動産投資

この記事で分かること

  • 不動産投資の難しさの正体は、知識不足ではなく「情報の非対称性」であること
  • 株式投資と比べて、なぜ不動産はここまで情報格差が大きいのか
  • 営業マンが嘘をつかなくても、不利な情報が伝わらない理由
  • 「おすすめ物件」という言葉を、そのまま信じてはいけない理由
  • 6室買って初めて分かった、「聞くべきこと」の具体例

不動産投資を始めたばかりの頃、私が一番難しいと感じたのは「良い物件を見つけること」ではありませんでした。

そもそも、何を確認すればその物件が良いのか分からないことでした。

不動産会社の営業担当者は、毎日のように投資用不動産を扱っているプロです。一方、購入する側は初めて不動産を買う人も珍しくありません。この知識差はかなり大きく、しかも営業担当者はその物件を売る側でもあります。

私は、不動産投資の難しさのかなりの部分が、この売り手と買い手の「情報の非対称性」にあると思っています。これは営業マンが悪いという話ではありません。営業マンは不動産のプロで、買い手は初心者であることが多く、しかも営業マンには物件を売るという目的がある。この構造そのものに、買い手が不利になりやすい理由があります。

不動産投資は、売る側と買う側の知識差が大きすぎる

例えばインデックス投資なら、S&P500やオルカンの商品内容、信託報酬、過去の値動き、NISAでの買い方まで、誰でも同じ情報にアクセスできます。どの証券会社から買っても、同じ商品なら中身は同じです。

ところが不動産は違います。目の前に提示されたその1室について、価格が本当に安いのか、家賃が適正なのか、修繕積立金が今後どうなるのか、10年後いくらで売れそうなのか。こうした情報を初心者が自力ですべて判断するのは簡単ではありません。

S&P500は「商品」と「販売者」を分離できますが、不動産投資では物件情報そのものを販売者から得るケースがほとんどです。この構造の違いが、情報格差の大きさに直結していると感じています。

これは、経済学で「レモン市場」と呼ばれる問題にも近い構造です。中古車市場を例に、売り手だけが車の本当の状態を知っていて、買い手が知らない状況では、正しい情報が伝わりにくくなるという理論です。不動産投資においても、この構造にかなり近いと感じています。

理由は主に4つあると思っています。

  1. 同じマンション内でも階数・向き・部屋の状態によって条件が変わり、株式のような「完全に同一の商品」が存在しない
  2. 物件を扱っている不動産会社は基本的に1社だけで、A社とB社が同じ物件を並行して売っているわけではない。だから他社の提示条件と比較して、その価格が本当に適正なのかを確かめる術がない
  3. 同じ部屋が売買されるのは数年〜十数年に一度で、株価のようにリアルタイムで見える相場が存在しない
  4. 上場企業のような開示義務が管理組合にはなく、重要事項調査報告書のような情報も、こちらから請求して初めて出てくることが多い

本当に怖いのは「何を質問すればいいか分からない」こと

単純な知識不足なら、勉強すればいつか埋まります。でも初心者には、もう一段厄介な問題があります。「自分が何を知らないのか分からない」ということです。

例えば、

営業マン:「この物件は駅徒歩5分で、賃貸需要も強いです」
初心者:「なるほど、良さそうですね」

これで終わってしまいます。

でも、聞くべきことを知っていれば、こう続けられます。

  • 「現在家賃はいくらですか?」
  • 「周辺の成約賃料はいくらですか?」
  • 「同じマンションの別部屋はいくらで貸していますか?」
  • 「修繕積立金はいくら貯まっていますか?」
  • 「長期修繕計画では、いつ値上げの予定がありますか?」
  • 「管理費も上がる予定はありますか?」
  • 「5年後の想定売却価格はいくらですか?」
  • 「その根拠は何ですか?」
  • 「同じ築年数の成約価格はいくらですか?」
  • 「この価格なら実質利回りはどれくらいですか?」

初心者と経験者の違いは、答えを知っているかどうかだけではありません。「何を質問すべきか知っているかどうか」の違いでもあります。

営業マンは嘘をつかなくても、良いところだけ説明できる

ここも大事な点です。営業マンが嘘をついているとは限りません。

  • 「駅徒歩5分です」
  • 「入居率が高いです」
  • 「都心へのアクセスが良いです」

これらはすべて事実です。でも、

  • 「現在家賃はすでに相場の上限です」
  • 「数年後に修繕積立金の値上げ予定があります」
  • 「この価格は中古相場より少し高めです」
  • 「10年後は次の買い手の融資期間が短くなる可能性があります」

こういったことまで、聞かなくてもすべて説明してくれるとは限りません。

問題は「嘘を見抜けるか」ではなく、「説明されていない重要な情報に気づけるか」なんだと思っています。

営業マンの「おすすめ」と、自分にとっての「最適」は違う

「今一番おすすめの物件です」と言われたとき、考えるべきことがあります。それは、誰にとってのおすすめなのか、ということです。

  • 買い手にとって一番リターンが高い物件なのか
  • その会社が今売りたい物件なのか
  • 在庫として持っている物件なのか
  • 金融機関の融資が付きやすく、契約しやすい物件なのか
  • 営業担当者が今月決めたい物件なのか

もちろん、本当に良いと思って勧めているケースもたくさんあります。「おすすめ=悪い物件」というわけではありません。ただ、営業マンの「おすすめ」と、自分にとっての「最適」は、必ずしも同じ意味ではないということです。

私自身、6室買って初めて分かった「聞くべきこと」

これは、最初から知っていたわけではありません。

例えば「家賃は安い方がいい」という発想を、私は最初知りませんでした。普通に考えれば、家賃10万円より11万円の物件の方が儲かりそうに思えます。でも今は、相場11万円なのに10万円で貸している物件の方が、値上げ余地があって投資対象として優れているという見方をしています。
👉 不動産投資における物件選びの5つの判断軸|6室購入した投資家の結論

これは、最初から知っていなければ、「この物件の家賃、もっと上げられますか?」という質問自体が出てこないということです。


修繕積立金も同じです。「現在8,000円です」と言われても、最初は「そうなんですね」で終わっていました。今なら「長期修繕計画では、今後いくらになる予定ですか」と聞けます。

築年数についても同じことが言えます。購入時点の築年数だけでなく、「保有期間を終えて売却するとき、次の買い手は融資を組めるか」まで考えられるようになったのも、6室を買ってから身についた視点です。
👉 新築は基本NG、でも1室だけ買った理由|6室購入者が見る新築と中古の境界線

最初の1室を買おうとしている人ほど、こうした知識をまだ持っていません。これはある意味、逆説的な難しさだと思っています。一番知識が必要なタイミングで、一番知識がないのです。

では初心者はどうすればいいのか

結論を先に言ってしまうと、営業マンの説明を鵜呑みにせず、1社の説明だけで意思決定しないことが、まず一番シンプルにできる対策です。

もちろん、それだけで情報格差がすべて埋まるわけではありません。では、別の視点から同じ物件を見ると、具体的に何が分かるのか。私はこれを、セカンドオピニオンという形で実践しています。
👉 不動産投資で損しないために|買う前に相談すべきセカンドオピニオンサービス【実体験レビュー】

まとめ|「おすすめ」を信じるのではなく、「聞くべきこと」を知る

不動産投資の難しさは、物件そのものの良し悪しを見抜く力より先に、売り手と買い手の間にある情報の非対称性にあると思っています。

営業マンは嘘をついているわけではなく、むしろプロとして誠実に説明してくれることがほとんどです。それでも、不利な情報まで自主的にすべて説明してくれるとは限りません。だからこそ大事なのは、「何を質問すべきか」を知っておくことだと思っています。

私自身、6室買って初めてこの質問リストが身につきました。これから最初の1室を検討する人こそ、この情報格差を意識してほしいと思っています。


とはいえ、これだけの質問を初めての物件でいきなり自分だけで判断するのは、簡単ではありません。だからこそ私は、営業担当者とは別の立場から物件を見てもらえるセカンドオピニオンを活用しています。

物件が本当に割安か、修繕積立金や築年数のリスクはないか、第三者の視点で確認したい方は、お気軽にご相談ください。

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